第 8 章
これであなたもチップの達人
Chapter1
そもそも「チップ」とは
Shangri-La Hotel Bangkok (Bangkok, Thailand)
サービスは無料ではない、と心得るべし
もしあなたがデラックス以上のホテルに滞在するなら、まず「チップは義務である」と心するところから始めましょう。日本人は習慣の違いのせいか、いつまでたっても「サービスは無料」、受けて当たり前と思っていますが、海外、特に高級ホテルにおいては、サービスはあくまで「有料」なのです。
悪気がなくても、ついうっかり忘れてしまうこともありますが、それが続くと、「日本人はチップを払わない=マナーを知らない」という評判が定着してしまい、日本人全体に対する対応が冷たくなってしまうかも。そんなことにならないために、まずはチップの意味を知るところからはじめましょう。
「チップ」は「給与の一部」
アメリカに代表される地域では、チップは労働賃金の一部とみなされ、給与システムに組み込まれています。例えばウエイター、ウエイトレス、ベルマン、ドアマンといった、チップを多く受け取る部署の従業員は、その分お給料が低く設定されており、彼らの家計を支える主たる収入はチップということになります。逆に、ハウスキーピングのようにあまりチップがもらえない部署は、給与は高めに設定。さらに、バックオフィスの部署、つまりお客様と接することのない部署は、インセンティブなど別な形での支給があり、全体として不公平感が出ないように設計されています。
このようにきっちり組み込まれているので、チップを払わない、あるいは相場よりだいぶ低い金額だったりすると、非常識!と思われてしまいます。
「チップ」は「心付け」にあらず
正規料金以外のお金を払うとなんだか損した気分になってしまいそうですが、上記のような仕組みを知っておけば、少しは納得できるのではないでしょうか。
なお、日本には「心付け」という習慣がありますが、こちらはチップとは異なり、「気持ち」なので、渡しても渡さなくてもいいもの。給与に組み込まれているということもありません。この「心付け」と「チップ」同一視してしまうと、大間違い。つい渡さなくてもいいか、と思ってしまいがちですので注意しましょう。
※なお、チップの相場や習慣は国により異なります。チップ不要の国もあれば、それほどうるさくない国もあります。逆に、払い忘れると追いかけてくるほど厳しいところもありますので、ご旅行前には渡航先の習慣についてチェックをお忘れなく。