ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.69

Vol.
69

夢の国ブータンへ!

みなさん、ご無沙汰しておりました。マダムにヘルプをお願いしていたこの数カ月、何をしていたかというと、成田トランジットという事態を含め西へ東へ。 最後はロサンゼルス、ドバイ、バンコクと移動し続けるという「地球一周移動」などしておりました。おかげで体内に2つの時差が残ってしまい、突然睡魔に襲われては苦しんでおります。

10代からの憧れがついに実現

この「移動」中、いま話題のスローライフの聖地ブータンにも行ってまいりました。1983年にNHKルポ「秘境ブータン」を見て以来、渡航を夢見てきた国。雄々しきヒマラヤに抱かれ、チベット仏教を正教とする、おいそれと足を踏み入れることのできなかった神秘性、最近ではGDPならぬGNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)という誇り高き価値観を世界に発信するなど、その全てが私の憧れをかき立ててやまなかった国。今回は開国イベントと申しますか、観光客への門戸開放政策のための視察招待という、私にとっては千載一遇のチャンス。ついに長年の夢が実現したというわけです。

ブータンは気軽に行ける国ではない

昨年、ワンチュク国王ご夫妻の来日、被災地のお見舞いをいただいたことから、にわかにブータンブームが巻き起こりました。若く美しいお二人が愛をこめて語る「国民総幸福量」世界一の国。どんなところなの、と誰もが興味津々といったところですよね。ところがそこは、他の観光地のように気軽に行ける場所ではありません。1974年にゆっくりと秘境の扉を開いて以来、2007年まで年間2000人しか受け入れなかったというブータンは、自然環境や伝統文化の保護のため、ある意味長きに渡り「鎖国」状態を続けてきたのです。

また空路も日本からの直行便がないため、アクセス拠点はバンコクやダッカ、カトマンズ等の周辺国となります(9月からシンガポールからのフライト追加予定)。旅行代金も政府によって公定料金が定められているため、明朗会計といえばそうなのですが、独占的アクセス費用などをプラスすると、やはり「意を決して行く」価格になってしまいます。それでも行く価値があるかと言えば、あります。「モノと欲に溢れた現代社会に失われた空気、心を癒す、満たす・・・そんな旅の地を求める方々に」であります。

まっさらな心に驚きが次々と

この旅における私の目論みは、あえてディープな事前調査をせず、既成概念のないまま素直に見聞しようということ。とはいえ、そもそも他のディスティネーションのように情報が十分にありません(笑)。足を踏み入れたのは首都ティンプーと空の玄関口であるパロのみ。たったの2県ですから偉そうなことは言えないのですが、それでもやはり、さまざまな驚きと発見に満ちた滞在でした。

まずは、その昔は谷ごとに言葉が違うと言われたブータンだったのに、今はほとんどの国民が素晴らしい英語を操るということ。なんでも第3代国王が在位していた60年代から、英語を公用語として教育に取入れてきたのだそうな。一人でティンプーの裏路地をぶらついてた時に、物売りのおばさんに話しかけてみてビックリ。しっかり英語で会話ができるのですよ。しかもクセのない、非常に端正な発音で。これには本当に感心しました。また、ブータン仏教界を代表する高僧の英語による仏教講話には、時間も忘れ聴き入りました。ゾン(僧院)内の凛とした荘厳な空気の中、その訥々とした仏僧ならではの言葉が心にしみましたねえ。

家族や友人とともに生きる幸せ

もう一つの驚きは、これまたほとんどの国民が、その生涯を家族とともに過ごすという事実。ブータンの伝統的な家屋は、一体どれほどの時間が経過したのかというほど立派です。室内は無垢板張りで質素ですが、10室以上もある規模の大きなもので、そこに平均3世代が同居しています。とあるお宅にお邪魔した際に「ずっと同じところで暮らすのは、若者には変化がなく退屈ではありませんか?」とたずねたところ、「どうして! 家族、友人とともに一生一緒に過ごせること以上のことがありますか!」と、当たり前のように言われてしまいました。きっと幸福とは何かなんて愚問なんでしょうね。

「幸福」という名の静かなプライド

人々の様子も、笑みを浮かべ実に穏やかであります。男性はイケメンというより端正な、という形容詞の似合う美男子が多く、みな日本の着物に似た民族衣装に身を包み、寡黙で相手の出方を受けとめるといった聞き上手な雰囲気。女性も伝統衣キラをまとい、化粧っ気がなく、子どもは昔ながらのフクフクとしたご面相。誰もが伝統的な宗教や生活習慣を守り、あるがままを受け入れて、優しくたおやかに暮らしているようです。

あの大きな家にはカギもなく、気がつけば近所の人が食卓を囲んでいることも日常だそうで。そういえば、私というストレンジャーが外を歩いて いても、だ?れも特別視なぞしないのですな。本当に「あるがまま」「足るを知る」が、自然と身についている・・・なんと評したらよいのでしょうか、出会った多くの人たちに、「幸福」という名の静かなるプライドを感じました。

注意! 食べ物は唐辛子たっぷり

そんな穏やかな性質とは裏腹に、ブータンの食べ物は唐辛子がどっさり入った、激辛が一般的。ご飯、干し肉と野菜の煮込みが基本メニューで、あまりバリエーションは多くないなという印象です。主食は赤米の他、チャパティ、ナン、プタと呼ばれる日本のそばを短くしたようなものもあります。アルコールでは、レッド・パンダというどぶろくのようなビールが美味しかったですねえ。あまりタブーはありませんが、食事も人心同様、全体的にシンプルなのであります。

今なお制限があるとはいえ、徐々に観光事業に力を入れはじめてきたブータン。しかし誰でもウエルカムという感じではありません。求められているのは、宗教、哲学、教育、カルチャー、エコ、トレッキングなどに興味のある、いわゆる知的トラベラーとでも申しましょうか。実のところ、ツェチュと呼ばれる伝統的な祭事以外には特にエキサイティングなアクティビティはないようですし、目を見張るような景観が目白押しというわけでもありません。ゆえにブータンという国の生活と空気に同調し、私たちが失ってきたもの、渇望しているものに静かに対峙することを主眼にすれば、必ずや静かで深い感動を覚える旅になるに違いありません。

独特の文化の中に生きるブータンの人々のシンプルライフを目の当たりにすると、私たちの生活が、いかに欲望という毒に支配されているかをひしひしと感じます。一つあれば二つは要らない。家族が共にいることの幸せ。大震災を経験してきた日本人なら、きっと共感するであろう「善き人間」の姿が、ブータンではごく自然に受け継がれているのです。パロで手に入れた美しい民族衣装ゴの、その素晴らしい着心地を味わいつつ、そんな感慨に耽る私なのでした。

花鳥風月

花鳥風月/ブータンへ個人旅行をしたいなら

ブータン旅行にはまだ種々の面倒があるため、専門ツアーを扱う会社に手配を頼むのがいちばん便利です。しかし、個人旅行が不可能なわけではありません。主要都市にロッジを有するアマンコラとウマ・パロを筆頭に、ラグジュアリークラスのホテルに予約をすれば、自動的にフライトやヴィザなどの煩わしい手続きも行ってもらうことができるようです。

アマンコラのロッジがあるのはパロ、ティンプー、プナカ、ブムタン、ガンテの5カ所。もう一つのウマ・パロは、 これまた世界的に有名なコモ・ホテルズ&リゾートの経営。バリで人気の高いコモシャンバラのスパもあり、ブータン伝統のお風呂ドツォを体験することもできます。メディアで紹介されるブータン特集の大半が、上記2ブランドの宿泊施設を利用しているようで、長期滞在する各界著名人やセレブも少なくありません。ネックがあるとすれば、やはり料金でしょうかねえ(笑)。もちろん、公定料金で宿泊できるスタンダードクラスの宿も多くありますが、高額な旅行費用に見合うかといわれると・・・。

まだまだハード面、ホスピタリティという観点では発展途上な地ですから、かなり吟味する必要があります。しっかりした心の準備と高い志を持ってお出かけすることをおすすめします。ちなみにアップルワールドでは近々、バンコク発着ベースのブータン商品を用意する予定だそうですぞ。ご興味のある方はぜひサイトをおたずねになってください。


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