Vol.
53
魅惑の都市でプチ・グルマンを楽しもう~ヨーロッパ編その3
今回はひさしぶりのプチ・グルマンです。紹介いたしますのは前回初渡航で取り上げたブルガリアはソフィア、そしてロンドンのレストラン最新情報です。「もっといろいろな国のディープな店を教えて!」というリクエストもいただいているのですが、仕事が絡んでしまうとどうしても無難なところに落ち着きがちでして・・・。ああ、体力も胃袋も恐れ知らずの時代は遠くなりにけり、ですなあ。
まずはブルガリアの食事について
ソフィア滞在中、作りたてのヨーグルトとワインのおいしさに舌を巻いた私ですが、こと食事に関しては「これぞ!」という一品にはめぐり合いませんでした。というか、もしかしてブルガリアの人は、食にあまり興味がないのではないかとすら思ったほど。なにせ、毎日食事をともにした現地の知人が、三食同じものを食べ続けているのですよ(私は途中でギブアップ)。まあ毎日同じものを食べても飽きないだけあって、料理の大半はとてもシンプルです。メインは鳥、豚、ラムがほとんどで牛はごちそう。黒海はあるもののおいしい魚が採れないせいか、さほど登場しません。地産サンフラワーオイル(オリーブオイルはトルコやギリシャからの輸入頼りのため高価)でグリルかフライにし、味付けはビネガーと塩、ちょこっとハーブやスパイスという感じです。
面白いのは、食事とともにいただくアルコール。日本なら「とりあえずビール」となるところ、ブルガリアではしょっぱなからラキアという、スモモで作ったブランディのようなお酒が出ます。アルコール度は50! これを4、5杯飲みながらヤギのチーズが山盛り載っている大量のサラダを食べるのです。ブランディを飲むのは、チーズを溶かす意味なのでしょうね。続いてメインはワインがお供。そしてデザートの時にビールが出てきます。徐々にクールダウンするようなアルコールの飲み方が実にユニークです。まあ飲む量がハンパじゃないですから、気分はダウンどころかどんどんハイになっていくんですけどね(笑)。
コーヒーブレイクもディナーもOKの万能カフェ
そんなソフィアのいいところは、おしゃれなのに気取りのないカフェがたくさんあること。ランチに、休憩に、そして本格的なディナーにと幅広く使えるので、お気に入りを見つけておくと非常に便利です。私が気に入ったのは、オペラ座と同じブロックにあるその名もOpera(オペラ、113 Georgi Sava Rakovski Str.)。地下に降りる構造になっていますが道路沿いにテラス席が設けてあるので、明るく爽快。夜はムーディです。メニューはインターナショナル。わりと本格的なビストロで、ゲストもかなりスタイリッシュな雰囲気でした。
もう1軒がFlocafe(フローカフェ、3 Sveta Nedelq Sq.)。スヴェタ・ネデリャ広場の向かいにあります。こちらはオペラよりややカジュアルで、若い人やエグゼクティブのたまり場ラウンジといった感じ。食事もブルガリア料理をアレンジした、手軽なメニューがそろっています。サービスがしっかりしているのも好印象でした。ついでながら、どうしてもオリエンタルを欲してしまった夜どうするか。私が駆け込んだのはツァール・オスヴォボディテル通り、聖ニコライロシア教会の向かいにあるThe Nine Dragon(ナインドラゴン、8A Tzar Osvoboditel Blvd.)という中華レストランでした。メンばかりの焼きそば、それをおかずにライスを食べる地元の家族連れ。安いけど高い、一言でいえばそんなイメージの中華です(苦笑)。実はソフィアにはスシバーが10軒ほどあるそうですが、見た目からしてちょっと怖くトライできませんでした・・・。 ただジモティにはオシャレな食事と大好評のようです!
ロンドンではずさない最新レストラン
「食の極北」と言われながら、レベルの高いお店が増えてきたロンドン。以前も何軒か紹介しましたが、今回もかなり驚きの体験をしてきました。今でも記憶が鮮烈なのがterranostra(テッラノストラ、27 Old Bailey)。イタリアン・リージョナル・キュイジーンと銘打ち、本格的なサルディーニャ料理を出しています。薄焼きパンのカラサウ、ウニやカラスミのスパゲティ、独特の味わいの白ワイン・・・ヘルシーで、でも濃厚で、どれもこれも忘れがたいものばかり。料金も非常にリーズナブルなのですが、イタリアン兄弟の経営する非常に小さいなお店ですし、常連が多く、さらに地元グルマンがこぞって詰めかけるらしく、なかなか予約が取れません。人数も多くても4人が限度でしょう。気合いを入れてアタックしてみてください。シティ・テムズリンク駅のすぐ近くです。
夜遅くにロンドンに到着し、ウロウロしているときに見つけたMono(モモ、25 Heddon Str.)もよかったですねえ。サヴィル・ロウの近くにある北アフリカ料理の店(メニューからするとモロッカンがメイン?)で、あとで知ったのですがマドンナも訪れるような有名店、予約は2カ月待ちなのだとか。私が友人といったときは夜9時を回っていましたが満席でした。テーブルを確保できたのは運が良かったんですねえ。疲れた体にも優しい、シンプルで素材の力強さを感じる料理でした。雰囲気だけでも楽しめるレストランだと思います。
最後はこれぞトレンドの極み、テムズ川に面した高層タワーに居を構えるOXO(オクソ、OXO Tower, Wharf Barge House Str.)です。プロデュースは、あのハーヴェイ・ニコルズ。全面ガラス張りのリバービューはデートにもピッタリ。ワインセラーをパーテーションに見立てた内装もオシャレです。ゲストはビシッとスーツで決めたエグゼクティブ系が主流。仕事帰りにここで一杯&食事というところでしょうか。グループが多いので賑やかでもあります。こちらも超人気のため、飛び込みではほぼ無理。どうしても、の場合はラグジュアリーなホテルに滞在して、コンシェルジュの力を借りてはいかがでしょうか。
旅先の食は、100%確実と言うことがありません。人によっては「最高!」なのに、ある人によっては「全然ダメ」なんてこともありますからね。最終的には自分の舌がどう感じたか、です。海外滞在中は勇気を出して気になるレストランに出かけてみてください。自分の経験こそが最も信頼に足る評価基準。そこからプチ・グルマンへの道が開かれるのです!
マイフェイバリットホテル
ミスターMがおすすめするプチ美食の拠点ホテル
【ソフィア】 ラディソン ブリュー グランド ホテル ソフィア
ソフィアは地図で見るとこぢんまりしていますが、意外と一区画が広く歩くと大変。したがってホテルは中心エリアで押さえるべし、ということで前回紹介したシェラトン同様、観光拠点に最適のホテルがこのラディソン ブリュ。北欧スタイルとブルガリアらしい素朴さがマッチした心温まる内装とカジノを含めた充実の館内施設が魅力。広々とした客室やおいしい朝食も高評価です。
【ロンドン】 サボイ ア フェアモント マネージド ホテル
2年間のクローズを経てリニューアルオープンした、ロンドンを代表するラグジュアリーホテル。ですが、もうどこを直したのかわからないほど雰囲気は前と同じ(笑)。あの威圧的なドアマンの視線をものともせずに入館するのは、相当の度胸がいります。しかし、一度なじめばこれほど優秀で理想的な環境はありません。予約困難な店でもここのコンシェルジェならお手のものでしょう。
【ロンドン】 ランガム ホテル ロンドン
サボイは敷居が高くてちょっと、でもゴージャスな滞在がしてみたいという人向きのちょっとスノッビーなホテルです。スタッフの応対も比較的カジュアルなのでリラックスできそう。客室はさほど広くはありませんが、近年の改装でコンテンポラリーにロマンティックを融合させたエレガントな空間に仕上がっています。朝食はアラカルトがおすすめ。中でもワッフルは絶品ですゾ! ロケーションもあらゆる意味で最高です。
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