Vol.
37
相手を敬ってこそコミュニケーション
気がつけばテレビも映画も雑誌もアマルフィ方面一色。みなさまからのお便りにも「アマルフィに行きたーい!」という声が多いですわねえ。理想はミスターのように海岸線を車でぶっとばし! ですが、マダムは身分証明書代わりのゴールド免許しかないばかりか、運転してくれるキレイドコロもおりませぬ。でも、しっかりばっちりアマルフィ(の眺め)は楽しんで参りましてよ。
ポンペイで痛恨の待ち合わせミス
わたくしの重要な旅仲間であり荷物が多いことで有名な、そして機内食は絶対食べないというクールビューティ、中目黒マダムがママ持参で2週間ほど南イタリアはサレルノに滞在するというニュースを聞きつけ、すかさず途中で落ち合う計画を立てたわたくし。実はイタリアが大好き。20代後半には真剣にミラノマダムを目指していたうつけ者でございます。なのに、なぜか南は食指が動かず、フィレンツェ以南は未踏の地でございました。ま、とりあえずローマはエスコート付きで行く楽しみ用にキープしておいて(ホホホ)、今回はナポリにイン、そしてサレルノに移動することに決定?。
一足先に旅立っていた中目黒マダムとは、ポンペイで待ち合わせ・・・のはずが、約束の前日、ナポリのホテルに「なんで来ないのー!!」と動転電話。だって、待ち合わせは明日ですー。スケジュール帳を見るざますーと訴えると、「ホントだ・・・アタシが悪かった。でもさ、ママを放り出して2つの鉄道駅行ったり来たりよ! 逆ギレで申し訳ないけど、もうポンペイ見物は十分したから! 行くなら一人で行って頂戴」。はいはい。承知しましたわ。
ポンペイは早朝に&アマルフィ見物はフェリーから
そんないきさつから早朝にサレルノからポンペイへ向かったわたくし。あの・・・電車が来ないんですけど? これがイタリア名物「周回遅れでジャスト到着」の罠ですわね。ようやく乗れたら、今度は車内アナウンスまるでなし(アナウンスありの電車もたま?にありましたが)。シーンと着いてシーンと出発。駅の看板もものすごく手前にあったりして、もはや降りる場所を確認するのにろくろ首。なのに・・・やられました。気がついたら、ポンペイは遠ざかりつつ。くー。次の駅で降りて引き返しましたわよ。ああっ、もう! これでいいのかベルルスコーニっ!
ま、早朝のポンペイで人っ子ひとりいない住居跡を歩いていると、本当に廃墟なのだという実感がわいてきますわね。自分がどこにいるのかわからなくなってしまいそうでした。一人で廃墟散策を楽しみ、サレルノに戻ってようやく中目黒チームと合流。今度こそ手抜かりなく、3人でカプリ島に向かったのでした。ええ、フェリーの中から眺めるアマルフィは格別でしたわね。サレルノからだと、主要箇所は全て停泊しますので、意外と時間がかかるものの、見逃せない風景が続くので全く飽きることはありませんでした。
隣の芝生は青い・・・のか?
それにしても、中目黒マダムママには大爆笑でした。とっにっかっくっ元気よすぎ。「あっ、いない」と思うと突撃隣の昼ご飯よろしく操舵室で船長たちと談笑していたり、デッキで風に吹かれてうっとりしていたり。かと思うと、思いっきり防犯ベルを鳴らして周囲の注目を浴びるなど、海外でも全然気後れしていません。わたくしは「ああ、うちのママもこんなに自立心旺盛だったら、どんないいいでしょう」としみじみしましたが、中目黒マダム曰く「1分1秒気が気じゃないのよ。自分の親だとハラ立つわよ、マジで」と、プチ切れ気味。ふーん、そんなものかしら?
イタリア人オヤジが急に怒ったワケ
さてさて問題は今回、中目黒マダムが遭遇した出来事です。サレルノの旧市街でのこと。長期間滞在していた彼女とママは、家庭的で居心地のよいオステリアを発見。毎晩通って楽しんでいたそうです。お店の人も顔を覚え、上客の日本人シニョーレとして大歓迎。そんなある晩、もはやお腹いっぱいなのに、オーナーらしきオヤジが、まだまだあれもこれもと猛プッシュ。そこで中目黒マダム「もう十分です?」というつもりで「Basta!」と言ったのですね。するとオヤジ突然大激怒。メニューを放り投げて、以降一切テーブルに近寄ってこなかったのだそうです。「私、何がいけなかったのかわからないのよ・・・」としょんぼりする中目黒マダムに、知り合いのイタリア人は言いました。「当たり前でしょ。そんな言い方したら!」。以下は、イタリア人の力説でございます。
イタリアでは「お客様は神様」じゃないよー。サービスをする人が「下」だという認識が君にはなかったか? 特に伝統的なオステリアなどでは、カメリエーレだってプライドはものすごく高いから、日本みたいに何でもかんでもかしずいてもらえると思ったら大間違いだよ! で、「Basta!」はどんなトーンで言ったの? ちゃんと笑顔で優しく言った? しかめ面で言い放つと「うんざりだよ!」ってニュアンスになるから、気をつけなくちゃ。それに外国語を使うと、相手は「話せる」と思って対応してくるからね。その時に誤解を招くような言葉遣いをしちゃうケースがよくあるんだ。親しみを示したつもりが、相手は「バカにされた」って感じるとか。まあ、いずれにしろ女性は笑顔が第一だね。スゴイ美人なら怒った顔もいいけどね?。だってボクのガールフレンドは・・・
仲良くする=相手をなめることではありません
はい、ストップ。本当に(ほとんどの)イタリア人男性は、女性の話をさせるとエンドレスなんですのよね。ナルシストも多いし・・・。それでも、中目黒マダムの失敗の原因がどこにあったかは、彼の話でおわかりになりましたかしら? 彼女の場合は、単純に使う言葉と組み合わせる表情のニュアンスを間違えただけ、という気もしますが、サービス業に携わる人を一段低く見るとか、相手をなめるような言動=親しみを現すと勘違いしている人、結構いるのではありませんか? 特に男性に、ね。しかも、若者から中年まで幅広く。日本は「空気を読む」国民ですから、んん???と思っても見逃してくれますけど、国外ではそうはいきませんのよ。
ホテルでもレストランでも、自分が失礼な言動をしたのに気がつかず、怒った相手に逆ギレしてクレーム。「客に対して失礼だ」って・・・本当に失礼なのは一体どっちなんざますかねえ。相手を軽んじる気持は、確実に伝わると心得て、たとえ相手が誰であれ、丁寧に優しく接すること。中途半端なフレンドリーコミュニケーションは、大やけどの元と心得ておいてくださいませ。
みなさまにもコミュニケーションで失敗した経験がおありでしたら、マダムに教えてください。他山の石、人のふり見て我がふり直せ。大切な教訓として、ご紹介いたしたく思います。それでは、みなさま。また来月。Ciao!
「私も来月息子の大学の卒論準備に同行してプーケットに行きます。ずっと家族旅行を重ねてきましたが、これが最後の息子との時間かも・・・・。タイの大学に留学していたので彼は半タイ人。ローカルな旅をアレンジしてくれるそうで、とても楽しみです。どうしようか悩んでいましたが、夫に背中を押されて行く事にしました。思春期を境に出来てしまった距離をお互いに縮められたらいいなと思っています」。プルメリア様からのお便りです。マダム、ちょっとホロリとしてしまいました。そうですそうです。「息子と一緒に旅? ヘンじゃない?」なんていう雑音などどうでもいいのです。みなさま、己の信じる道を歩いて参りましょう。プルメリア様も旅のご報告、ぜひお寄せくださいね。
続いて2回目登場のマダムマッチ様。冬にアルザス地方へのご旅行を計画中で「今回は気の置けない親友との二人旅」だそう。いいですね! マダムもアルザス狙いでしたが、微妙にスイス&北イタリア方面にシフト中。はてさて、どうなりますことやら。
そしてお久しぶりの大阪のtomomo様。一人旅は興味があるけれど「ともに喜びあえるという要素を抜いた旅は、とっても味気ない気がする」ので、なかなか一線を超えられないのだとか。いいえ、tomomo様! 「仕切り屋で自分の計画通り進むことに喜びを感じる」A型体質だからこそ、一人旅は楽しめるんですのよ。のんびりリラックスする日とアクティブに動く日を決め、メリハリをつけて過ごすだけで「してやったり感」いっぱい。基本は自分の価値観に忠実に動くことです。したいことのみを優先する、これぞ「日常からのリセット」だと思いましてよ。一人旅、ぜひチャレンジあれ??!
使えるワンポイント英会話
レストランであれこれ進められて「もう結構です」。以前にも「That’s all for now.」をご紹介しましたが、もう少しチャーミングなニュアンスを加えたいなら、「もうお腹いっぱいなの、ありがとう」というこのフレーズを。「No, thank you.」(イタリア語なら「No, grazie.」)でも構いませんが、高飛車な感じにならないよう必ず笑顔を添えてくださいね。
「「気持がなければ言葉は伝わらない」」気持と言葉は常に寄り添っているもの。心のこもらない言葉や、言葉にしない気持は、誰にも伝わりません。
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