Vol.
196
ファシリティフィー
10年ぐらい前になるだろうか。アメリカの都市にあるどこのホテルでも、ルーム料金とは別に、収益を足すための方法が本格的に検討され始めた。もっともらしい理由をつけて、フィーを追加し、収益を足す方法はないものか・・。そこで考えられたのがファシリティフィーという、ある種のサービスをつけることにより、おカネを支払ってもらう仕組みだった。
そのサービスは、コストがかかるのものであってはならない。当初は、Wi-Fiが無料で使える。国内の電話料金が無料になる。など、もとから無料にしているものや、ほぼ経費のかからないものを含め、ギフトショップで買い物をすれば、〇〇ドルのデイスカウントが受けられるなどから始まった。今では、朝食を食べれば〇〇ドルのデイスカウントが受けられるや、ミニバーにある〇〇が無料にまで拡大されている。
ファシリティフィーのメリットが小さければゲストは不満を抱え、二度と利用してもらえなくなるから、ホテルはギリギリの線で怒りをかわず、相応の額を支払ってもらえるサービスを探す。一つのホテルが行えば、周辺ホテルはどこも真似をし出し、結果、ファシリティフィーは全米中のほとんどのホテルで採用されるようになった。ホテルによっては、アメニティーフィーと呼んでいるところもあれば、リゾートフィーなどとしているところもある。
旅行会社が販売しているパッケージツアーでは、「ファシリティフィーはホテルに直接支払ってください」という案内になることが多い。なぜなら、ファシリティフィーに含まれる内容や料金はこまめに変更されるため、アップデートな状態を把握するのが難しいから。そして、チェックインの際に、フロントスタッフから「このファシリティフィーにはWi-Fiにかかる経費と、ブレックファストが〇〇ドルまでカバーされます」などという案内を受ける。だが、英語で説明されてもよく理解できず、全く利用せず、ホテルの丸儲けとなるパターンもある。この点で、英語を苦手とする国からくる人はホテルにとって最高のゲスト。
ホテルに丸儲けをさせないためにも、この情報は事前に確認しておき、100%使うべき。多くの場合、予約した際にこの案内が表示されているので、翻訳機などで英訳し、チェックインの際に、それらが間違いなく受けられることを確認することをお勧めしたい。
2024.03.31公開
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著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。
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