Vol.
125
ニューヨークホテルの近代史
マンハッタンの10番アベニューと11番アベニューの間、30ストリート周辺に巨大な建築中のビル群が見える。2021年完成予定の“ハドソンヤード”は45000人の雇用を生む大型プロジェクト。その脇にあるコンベンションセンターも拡張工事に入っていて、時を同じく、2021年に2倍の敷地に生まれ変わる。その後はホテルの稼働率は上がり、料金も跳ね上がる時がやってくる。
2000年、インターネットバブルが弾けて景気は下降線へ。2001年には同時多発テロが追い打ちをかけ、景気は真っ逆さまに。この恐慌に対応するため、政府は金利を下げた。金利が下がった世の中で、人々はローンを借りてマンションを購入しだした。2004年に顕著となった住宅バブルが高級ホテルを抹消していく。マンション開発業者が、マンションを早くつくるために、ホテルを購入してマンションへと改築しだしたからだ。だが、2008年に起きた“リーマンショック”が全ての動きに終止符を打つことになる。
いち早く回復に向かったニューヨークでは、2012年頃からホテル不足が起こり始める。2014年にピークを迎え、ニューヨーク市のホテル平均稼働率は87.1%を記録した。だが、2009年から始まったホテル建設ラッシュが稼働率を再び下降線へと導く。ホテルに投資をしたオーナーたちは“ここが潮時”とばかりに、ホテルを売りにだした。
近年、ニューヨークの渡航客増加は著しい。また、ハドソンヤードの完成とコンベンションセンター拡張工事の完了も控えている。ホテルへの投資熱が沸きあがり、マンハッタンのホテルはオーナーを次々に変えている。今は独立型ホテルが流行る時代。オーナーが変わるときに、ホテルチェーン名を冠したホテルでなくなるケースも多くみられる。
自分の求めるホテルか否かという情報が容易に取れ、予約もオンラインで取れるようになり、もはやホテルチェーンに入って、マネージメントフィーを支払う必用性が薄れてしまった。ホテルチェーンは、アンダズやエディションをはじめとした、チェーン名を冠しない高級ホテルに力を入れだした。それは“マニュアル化されたサービスにはあきた。個性が欲しい”という人々の需要を満たすための戦略。これからは、益々人々の要求に沿って在り方が変わっていく個性派ホテルの時代になっていく。
著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。
ビートルズ・ケネディ大統領・サウジの大富豪……全世界のVIPらに愛され、マネージャーとして超一流の世界で学んだ世界標準の「サービス」「心の持ち方」「自分の活かし方」「生き方」を公開!
「アメリカのホテルで1万円儲かることが、日本のホテルでは3,780円しか儲からない」といわれるほど世界最低レベルの生産性。働けど働けど儲からないワーキングスタイルに苦しめられるのはもうやめよう。
(原作:アントニオ猪木、著:ケニー奥谷、絵:八雲)
ブラジルの中央、マッドグロッソにある牧場に生まれた「はえくん」の物語。原作のアントニオ猪木氏が自身の体験をもとに長年あたためてきた企画が、奥谷氏の手により絵本になりました。大人が読んでも楽しめる愛と友情の物語です。
サービス発展途上国日本 - 「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする
サービスを向上させるにはスタッフを幸せにすることが一番の近道。アメリカの超一流ホテルでの経験から綴る業界改革論。
「プラザ」元マネージャー直伝、一流ホテルで恥をかかない滞在術。この一冊があなたのアメリカ滞在を変える!レジャーはもちろん、ビジネスにも役立つ情報の集積。国際人の責任として、海外に行く前にその国の常識を学ぼう。
アメリカのホテルはなぜこんなに不愉快なのか!?「日本人利用客」VS「アメリカ人従業員」。果てしないトラブルの非は、どちらにある?敏腕マネージャーがフロント・デスクの内側からみた「日米比較文化論」。
こちらもおすすめ
海外ホテル予約 人気都市
私が見たアメリカのホテル
人気記事ランキング
-
1位
第2回チップの誤った常識
-
2位
第27回枕チップなど必要ない?
-
3位
第89回アメリカ旅行の注意点
-
4位
第81回アメリカのホテルで守るべきマナー
-
5位
第102回人材が最も大切なアメリカのホテル
-
6位
第68回チップの額
-
7位
-
8位
第69回アップグレードを狙うゲスト