Vol.
31
アメリカのホテルに見るマネージャーの雇用形態
- Omni Houston Hotel
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アメリカのホテルでは、大卒スタッフをマネージャーとして採用する。マネージャーは、残業代はもらえず、ノルマを与えられる。彼らは自分のやり方で仕事を行い、会社は彼らがノルマを超えられるかどうかを見る。“新人だから”という扱いは一切されない。というのは、大学は技能者を育成するところで、すでに大学時代に、インターンとしてホテルで働き、十分に仕事をこなせるようになっているから。
アメリカの学生の多くは15歳くらいで、将来の道を決める。そして、その道に入るための大学を選んで入学する。ホテルマンになりたければ、ホテル学科に入って勉強をする。だから、日本の大学と違い、アメリカの大学は専門学科が多い。技能者を育成するのがアメリカの大学の役割といえる。
一流大学をでると、高い初任給をとることが可能になる。また、有能でありさえすれば、早く出世できる。企業は優秀な人材を求めて高い給料をだすから、優秀な人はいいオファーをつかんで職場をかえて行く。会社がつぶれても実力さえあれば、いくらでも高い賃金で仕事につくことができる。だから、人々は自分の職歴に磨きをかける。
逆に、大学で技能を身につけない人は会社では出世ができない極度の学歴社会。だから、私立大学の年間授業料が400~500万円というにもかかわらず、銀行からローンを借りて大学に入ろうとする。これが、日本よりも高い大学進学率を作りだしている理由。また、いくら大学をでても、仕事ができなければ出世はできない。学生も勉強ができなければ卒業ができないので、必至になって勉強をする。アルバイトなどしている時間はないというのがアメリカの大学生の実情だ。
日本のように、大学で技能を身につけずに、ほとんどの人が総合職につくとしたら、こうした社会はできあがらない。技能者になれなければ、会社が倒産したり、リストラされたりしたとき、職を見つけられずに困窮することになる。日本で、職につけない人が溢れて問題になっているのは、大学が技能者を養成する役割をはたさないことと、企業が総合職スタッフを育ててきたという社会のシステムに原因がある。
アメリカの失業率が日本よりも高いからと言って、アメリカのほうが深刻な状況と考えると間違うことになる。彼らは技能を持っている分余裕がある。

著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。

ビートルズ・ケネディ大統領・サウジの大富豪……全世界のVIPらに愛され、マネージャーとして超一流の世界で学んだ世界標準の「サービス」「心の持ち方」「自分の活かし方」「生き方」を公開!

「アメリカのホテルで1万円儲かることが、日本のホテルでは3,780円しか儲からない」といわれるほど世界最低レベルの生産性。働けど働けど儲からないワーキングスタイルに苦しめられるのはもうやめよう。

(原作:アントニオ猪木、著:ケニー奥谷、絵:八雲)
ブラジルの中央、マッドグロッソにある牧場に生まれた「はえくん」の物語。原作のアントニオ猪木氏が自身の体験をもとに長年あたためてきた企画が、奥谷氏の手により絵本になりました。大人が読んでも楽しめる愛と友情の物語です。

サービス発展途上国日本 - 「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする
サービスを向上させるにはスタッフを幸せにすることが一番の近道。アメリカの超一流ホテルでの経験から綴る業界改革論。

「プラザ」元マネージャー直伝、一流ホテルで恥をかかない滞在術。この一冊があなたのアメリカ滞在を変える!レジャーはもちろん、ビジネスにも役立つ情報の集積。国際人の責任として、海外に行く前にその国の常識を学ぼう。

アメリカのホテルはなぜこんなに不愉快なのか!?「日本人利用客」VS「アメリカ人従業員」。果てしないトラブルの非は、どちらにある?敏腕マネージャーがフロント・デスクの内側からみた「日米比較文化論」。
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