Vol.
5
アメリカのホテルの環境保護対策
「シャンプーも石鹸も新しいものに変えられていなかった!」
昨今、そんな苦情があがるようになってきた。
「やめてください」と言いたくなる。
それは、ホテルが交換を忘れたのではなくて、環境保護対策の一環だ。「京都議定書」に背を向けたアメリカだが、州単位では、二酸化酸素削減システムの構築に成功した企業に助成金を出している。企業は真剣になって、二酸化炭素削減に取り組んでいる。
ホテルも然り。まずはクリーニングの量を減らすために、「洗う必要のあるタオルだけ、バスタブの中に入れておいてください。環境保護にご協力をお願いいたします。」という案内を出すようになった。ここにきて、シャンプーと石鹸もある程度、量が減るまで交換しないホテルが増えてきた。
ホテルはゲストの協力を要請することは後回しにしてきた。だから、実は、目に見えない部分でのエコロジー対策はもっと進んでいる。
アメリカは、「二酸化炭素削減政策は産業の動きを鈍らすことになり、経済の足を引っ張る。」という理由で、「京都議定書」に背を向けた。世界各国から非難を浴びることを承知で国益を優先させたのだ。
一方、日本は「京都議定書」を批准した。世界環境を守るための強調に背を向けることなどできるわけがない。議決されたのも京都だ。しかし、実際には、決められただけの二酸化炭素を削減できないどころか、排出量を増やしつづけている状況にある。そして、お金を払うことで処理をしている。
こうした現状の下だから、とくに、日本国民はアメリカのホテルが行う二酸化炭素削減対策に苦情をあげないようにしなければならない。
「無知は罪なり」と言われないように、今、皆で声を大にして、ことの重大性を国全体に訴えなければならないときがきている。
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著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。
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