独居房が今や極上ルーム?過去は刑務所や裁判所だった世界のユニークホテル3選
世界中にはユニークなホテルがいろいろありますが、今回ご紹介する“元刑務所だった”ホテルというのも、なかなか珍しいのではないでしょうか。なぜ、元刑務所がホテルに?もちろん理由はいろいろあります。歴史的価値のある建物を有効活用して残すことが目的だったり、まちおこしのランドマーク的存在として期待されたり…。ホテル運営側もその想いをしっかりと汲み取って、元刑務所の名残を上手に遊び心ある空間へと変えて、寛ぎ楽しめるホテルへと生まれ変わらせています。そこで今回は世界中の旅行客が注目する3つの“元刑務所だったホテル”をご紹介いたします。
1.<ロンドン>あの有名アーティストを裁判した・・
「コートハウス ホテル ロンドン」
近年はロンドン最大のプライベートシネマを有するホテルとして話題に
ビクトリア様式の外観が目を引くこの建物は、かつてミック・ジャガーやジョン・レノン、キース・リチャーズの薬物所持について審判した裁判所でした。それを改装し現在はホテルとして多くの旅行客を迎えています。館内には裁判所当時の品が数多く残され、古い暖炉の佇まいに往時が偲ばれます。
デラックスタイプにはスーパーキングサイズのベッドを置いた客室も
客室は裁判官宿舎として利用していた当時の建て構えを残しながら、現代的デザインの家具を置いたベッドルーム、イタリア製の調度品を飾ったバスルームへとリニューアル。オフホワイトやブラウン系を基調にしているため華美にならず、どこかクラシカルな雰囲気が安らぎを与えてくれます。
バーには刑務所の房を改装した個室を完備。ここにレノンの似顔絵とは・・・
ダイニングは裁判所当時の施設を用いた個性的な空間。アジアンレストランにはミック・ジャガーや有名政治家を裁判した当時の証言席や裁判官席を残し、バーでは拘置房を個室席として利用しています。解放感いっぱいの屋上ステーキテラス、景色も楽しめるブラッセリーもあるのでご心配なく。
2. <ボストン>留置所の雰囲気を味わえる
「リバティ ホテル ボストン」
天井が高い円形の吹き抜けロビーも往時の姿をとどめた空間です
かつてチャールズストリート刑務所として使われた建物を2007年にリニューアルしてオープン。 ボストン・グラナイト様式を今に残し、往時を偲ばせます。館内には鉄格子や独房の痕跡なども多数点在、ロビーにあるおしゃれな円屋根も実は刑務所時代の遺品です。
約300ある客室いずれも眺望のよさが自慢
約300にも及ぶ客室は、淡いローズカラーとチャコールグレーを基調とした温かみのある空間です。眺めはチャールズ川やボストンの中心街など客室により異なりますが、いずれも大きく窓が取られ明るく、清々しい気分で滞在することができます。スイートルームからの眺めはまさに絶景です。
「CLINK」ではアメリカ料理が味わえます
元刑務所だったことを改めて実感できるのがダイニングスペース。頑丈な柱と黒い鉄格子や鉄の扉で区切られた中に客席が設けられています。バーラウンジ「アリバイ」は酔っ払い専門の留置所だったとか。でも怖い雰囲気は一切なし。鉄格子に囲まれながらも、なぜか酒も食も進んでしまいます。
3.<フィンランド/ヘルシンキ> 囚人服のスタッフがおもてなし「ベスト ウェスタン プレミア ホテル カタヤノッカ」
主に政治犯が収容。フィンランド元大統領リスト・リュティ氏もその一人
1837年から2002年まで勾留所の性格が強い刑務所を改装し、2005年にホテルとしてオープンしました。ホテルの建物が元は刑務所だったということを知らない人であれば、その歴史ある佇まいからは北欧の老舗ホテルという印象しか受けないのかもしれません。
壁がぶ厚いのも元刑務所の名残の一つ
長い廊下を挟み左右に続く独房も、今ではモダンな客室へと変身しています。高い天井とアーチ型の窓、そして飽きのこないデザインの北欧家具が、落ち着きある空間をつくっています。館内の至る所に往時の名残はありますが、それにふれながらも寛げる絶妙なコーディネートです。
古い酒樽や鈍色のレンガが落ち着いた雰囲気を演出
ダイニングのスタッフも看守や囚人服を着て、ホテルの歴史をお茶目にアピール。とはいえ、みな味はお墨付きの腕利きシェフ。スカンジナビア地方の新鮮食材を炭火焼きで提供してくれます。刑務所当時のレンガが残るバーは酒の種類が豊富で、周辺住民の憩いの場所です。