ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.130

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130

日本の未来はガラパゴス? それとも…

それにしても、テクノロジーの進化・変化は想像以上のものがあります。囲碁のチャンピオンも、ついにコンピュータに負けてしまいましたしね。過去のデータをすべて網羅し、なおかつそこからも進化していくAIに、人間はもはや太刀打ちできないのかもしれません。パターン化していることは全部対応できてしまうAIは、今後ますます生活の中の「主役」となっていくのでしょう。

サービス至上主義が進化を妨げる!?

さて、そういう世の中の変化に最も遅れをとっているのが、実は旅行業界かもしれません。現在でもなんと75%がオフライン、つまり電話やカウンター、訪問での対応がメインなんですね。オンライン化が進まないのは日本に限った話ではありません。海外も五十歩百歩です。しかし、あちらでは店舗展開が極めて少なく、その分をカタログでカバーしているだけ。大きな問題はインフラ整備の可否によるものであり、日本のようにサービスオリエンテッド(高サービス指向)ゆえにオンライン化が進まないのとはワケが違います。

サービスに対して、日本のように精度と高いレベルを要求する国は他にありません。だからこそ外国人は日本に来て感動するのです。しかしそれは日本に来たからこその感動であって、ならばこれを世界のスタンダードにできるかと言えば、それこそ「百年の計」(笑)。というより、そもそも外国人はそんな「スタンダード」なぞ求めていません。「これくらいで十分」が当たり前の社会ですから、「こんなことまでしてくれる!」日本のサービススタンダードは本当に特殊。そう、完全にガラパゴス化しているのです。

独特の価値観に汲々とする日本のサービス

私たちが当然のように思っている、常に懇切丁寧できめ細かくヒューマンタッチなサービスや、徹底的な顧客主体主義が敷衍している日本。独自の価値観による高いハードルをいくつも持ち、それをクリアすることが至上命題になっている摩訶不思議な国。そりゃあ、インバウンドに絶大なインパクトを与えるのも無理はありません。しかし、こうして進んでいくサービスのガラパゴス化は、「日本にいるのがいちばんラク」とばかりに、ますます日本人の意識を内向きにし、グローバルな思考を身につける機会を奪ってしまいます。そして世界的潮流との「ずれ」に危機感を抱かないと、いつまでたっても進化は進まないのです。

国が本当に「成長」するために

わかりやすい例で言うと、ヨーロッパでは昔から食事の席で政治、宗教、経済などの話題はタブーとされ、現在でも厳然たるモラルとして確立しています。でも日本にはありませんし、誰もそれがタブーだなんて思っていませんよね。これまでは、そのようないわゆるドメスティック思考でいても、何の問題もありませんでした。しかし2000万人を超える外国人が日本を訪れ、将来的な労働力としても積極的に迎え入れていこうとしている今日、「ヨーロッパのモラルなんか関係ない」ではもうすまされない時代がきているのです。

いや、多くの外国人が入ってくるからグローバルスタンダードになることが重要なのではありません。海外旅行が身近になっている時代だからこそ、日本人が海外で異文化を学び、グローバルなスタンダードとは何であるかを知った上で、国を「開いて」いくことが重要なのです。これは海外から来る人々を唯々諾々と受け入れ、なし崩し的に対応していくこととはまったく違います。既得権や目先の損得で汲々とせず、根本的な部分に投資をしない限り、国家としての本当の「成長」はないと思うのですが…。

思考をグローバル化しよう!

ITの発達とオンライン化は進化のスピードを加速します。しかし人間はスピードアップだけを求めているのではありません。そんな世の中にウンザリする人たちも次第に増えていくでしょう。その時、日本は世界に対してどんな価値観を提示できるのか。サービスに代表されるように、独特の価値観を守り続けるガラパゴスのままでいるのか、はたまた新たな進化を遂げているのか…。内向き思考が平和維持につながればいいのですが、軋轢が生まれるとまた振り子が振れていきます。保護主義と言う名目の排他主義に陥らないためには、1人ひとりの思考だけはグローバル化していることが必要なのです。それが少しでも明るい未来に結びつくはずだと、私は願ってやみません。

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