ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.128

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安心・安全な「海外旅行」を見極めよう

大きなニュースになった人気格安旅行会社の破産劇。みなさんはどうご覧になっていたでしょうか。最近では、バンコクで「5万円程のサプリメントを買って日本旅行プレゼント!」のチャーター便に集まった600人が、存在しない旅行に立ち往生・・なんていう報道もありましたね。読者の中に当事者がいないことを祈るばかりですが、あり得ないような料金で海外旅行ができること自体を、まずおかしいと思うべきでしょう。「安いものにはリスクがある」という教訓を日本中に知らしめたことが、これらの騒動の唯一にして最大の功績だったのかもしれません。そう、ツケは結局、消費者に回ってくるのですから・・。

格安ツアーなんてあり得ない!?

華々しくデビューした超大型旅客機エアバスA380が、受注低迷により生産を引き下げると発表したように、昨今、旅客機はどんどん中小型化しています。大型機の採算性の悪さやLCCの台頭などがその大きな理由ですが、そのため航空チケットは人気路線では高騰の傾向にあります(サーチャージも復活しましたしね)。なにせ相対的に座席数が少ないのですから、旅行会社はもとより個人旅行でも争奪戦は必至。高額になるのは市場原理からして当然なんです。

こうした航空チケットの現状と相場をある程度知っていれば、「ホテル込みのツアーでこんな料金あり得るの!?」と必ず疑問がわくはずです。しかし、大半の日本人は海外旅行は年に1回するかしないかという程度。比較検討はむろんのこと、疑問のわきようがないのですなあ。さらに、ほとんどがゴールデンウイークや夏休み、年末年始といった高額なのが当たり前のピークシーズン。家族旅行となったら、ますます費用はかさみます。誰だって少しでも安く旅行をしたいと思うものでしょう。

価格競争のワナ

そんな時、驚くような料金のツアーが出ていたら、文句なく飛びついてしまいますよね。そして一度、問題なく旅行できたらリピーターにもなる。支払いやキャンセル条件など、少しおかしいなと思うことがあっても、その裏にあるリスクにまでは思いがいたらないのが普通です。一方、旅行会社にしてみれば、一度安い料金を出してしまうと、それが規定価格路線になってしまうんですね。一発勝負の価格表示、集客できなくなると怖いから値上げできなくなる・・これは旅行会社に限らず多くのリテールで起こっている現実なのです。

本当は、お客さんが集まらない理由は金額だけではないのですが、最もわかりやすい「料金」で集客しようとする。それが薄利多売と自転車操業につながり、会社を追いつめていくのですな。危なくなっていくのが銀行や保険会社だったら、社会不安を煽るという名目で国が守ってくれます。でも旅行会社はJATAの一定額の補償があるだけで、どこにも守ってもらえない。最終的には、お客さんが泣き寝入りするしかないのです。

海外旅行でリスクを負う理由はない

そんなリスクを少しでもなくしたいと思うのなら、ある程度知名度と信頼が高い旅行会社を選ぶのが、やはり無難なんです。安定している会社は何だかんだ言って賢い(笑)。巨費を投じて新聞広告なんか出さなくても、たとえばユニークな企画でマスコミの注目を浴びる。取材が来る。それが計り知れない広告効果をもたらしてくれる。知恵を絞り、使うのはお金ばかりじゃなくアタマ、という作戦ですね。

ビジネスと違い、海外旅行をするのにリスクは限りなく遠ざけた方が良いでしょう。「楽しむ」が目的の海外旅行で、安心・安全以外に優先することなどないはずです。特に現在はテロや内戦、それに派生する諸問題が世界中で頻発しており、深刻かつ不穏な情勢が蔓延しています。だとすれば、安心・安全はお金で買うしかありません。知名度と信頼が高い旅行会社を選ぶというのは、そういうことです。ロープライス・ハイリスク、すなわち異常に安いモノはダメなんです。昔から言うじゃありませんか!うまい話には裏(ワナ)がある・・そのことを常に忘れてはならないのです。

個人旅行ならリスクは軽減されるのか?

となると、格安「ツアー」だからリスクが高いのか、自分で手配する個人旅行なら、そのリスクは軽減されるんじゃないか・・と考える人もいるでしょう。残念ながら、答えはノーです(苦笑)。確かにツアーの場合には、何かあれば一発でパーになりますが、航空券やホテルを別々に手配していたって、そのうちのどれかがダメになれば、どうしたってダメージは大きい。いずれにしろ負うリスクは0か100なんです。それを見極めるのは自分自身しかありません。

飛行機は選び覚悟して乗ろう

そこでリスク回避のため、少しだけ具体的にアドバイスを。航空会社はやはり選んだ方がいいでしょう。航空会社の安全性を独自の基準で評価しているAirlineRatings.comによる2017年版ランキングでは、ベスト3がカンタス航空、ニュージーランド航空、アラスカ航空。4位にANA、JALは12位にランクインしています。一方、ドイツの調査機関JACDECによる評価ではキャセイパシフィック航空、ニュージーランド航空、海南航空がトップ3。JALは10位、ANAは11位になっています。

安全性が高いのはやはり、整備などにしっかりお金を使い、パイロット訓練も厳格なフルサービスキャリア。LCCは採算効率がキーファクターなので集客次第で、突然ノーオペもしばしば。特に料金が安い最終便はフライトキャンセルされれば、日程は狂い、余計な宿泊費が発生・・と手痛い目に遭うことも。

またフルサービスキャリア系列と独立系では、かなり「構造」が違うので注意が必要です。独立系は資金繰りの関係から整備など見えないところにリスクが高く、判断しにくい。吟味が必要ですな。ともあれ、料金の安さだけにつられて信頼度の低い航空会社は避けた方が無難。乗るなら国内線などの近距離便に限りたいものです。また「航空会社未定」もできるだけ避けたい要素です。選択肢は狭まりますが、安心・安全には代えられません。

ネットを信用、依存しすぎてはいけない

情報デバイスの発達は旅行スタイルを激変させましたが、インターネット上にあふれるすべての情報が正しいとは限りません。嘘の情報もゴマンとあります。専門性が高いはずのキュレーションサイトにいい加減な情報があふれていて社会的な問題に・・と言う陳謝会見もありましたしね。そして誰かが構築した以上、ハッキングされないセキュリティも存在しないということを、キモに銘じておくべきでしょう。

正体がよく分からないネットのみで運営している旅行会社では、費用高のセキュリティは手薄となり、資金稼ぎにお客様情報をオプトアウト・・などという企業モラルやコンプライアンスが希薄になる傾向が多々あります。また安易なクレジットカード登録なども、どこにトラブルの落とし穴があるかわかりません。もはやインターネットを使わないで旅行をすることは不可能に近いとは言え、取捨選択選別能力を高めて自己防衛に努めてください。

海外旅行は「他者責任ではなく自己責任」

私は、海外旅行とは「他者責任ではなく自己責任」、ある種のサバイバル能力を磨く機会だと思っています。しかしそれは、現地に行ってからの話だけではないのです。旅行の計画を立てる時から知識やカンを総動員し、リスクを少しでも減らす工夫をすることも、サバイバル能力を鍛える一助になるはずです。「どうしてくれる」と泣きつくような事態に陥る前に、まず自分で考え、判断し、行動するべきなんです。

ところがです、海外旅行解禁から半世紀近い時間が経過している今なお、海外でトラブルに遭うと、まるっきりお手上げになってしまう日本人があまりにも多いんですなあ! その原因こそがパッケージツアーというやつなのですが・・。この話は、また次回にお届けします。

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