Vol.
103
マダムヨーコの極私的トラベルリポート~アイルランド編
ミスターファンのみなさま、お邪魔いたします。ただいま外遊中のミスターから「タイトなスケジュールの日々でアップアップ」とのSOSを受信! というわけで、久々にマダムヨーコの乗っ取り企画でございますわよ~。今回はちょっと懐かしいアイルランドの旅のお話。しかも、いつものマダム旅とはまるで異なるスタイルです。どうぞ、ウイスキー片手に気軽にお楽しみくださいませ。
ノープランで挑む南アイルランド周遊
今でこそアルコール類なら何でもござれのわたくしでございますが、かつてはどうしても苦手なものがありました。それがウイスキーとスタウトビール。どちらも独特の風味が特徴ですが、どーーーしてもおいしいと思えず敬遠しておりました。そんなわたくしに、「本場で飲めばゼッタイ認識変わるって!」とスコットランド&アイルランドの旅を猛烈プッシュしたのが、ケルト音楽LOVEの友人。じゃあ、あなたが車を運転してよね~という条件で、結構な長旅に出たのでした。
この友人、根がバックパッカーのため予算は超節約派。しかもノープラン&行き当たりばったりタイプ。「だってアイルランドはのんびりとした国だから」。そ、そんな。せめて到着日くらいはホテル予約させて~。頼み込んでわたくしが手配したのは、ダブリン中心街のテンプル・バー。オコンネル橋近くの4つ星でした。ええ、オシャレで素敵なホテルでしたのよ。でも、友人には高い・狭いと大不評! 以降は仰せの通り、移動途中で見つけたB&Bやゲストハウスを泊まり歩くことに……。シブシブ同意したわたくしですが、まさかこれが大正解だったとは!
黒ビールもアイリッシュウイスキーも極上
さて、ダブリン滞在中にどうしても行かなければならないのは、あのギネス・ストアハウスとジェイムソン蒸留所でございます。2000年に大改装したギネス・ストアハウスはとても近代的なビルで、ギネスブックにちなむ展示もあったりと見応えたっぷり。さんざん見学した後はチケットで試飲できるギネスを求めて7階へ。見晴らしのよいバーで飲んだできたてギネスのおいしかったこと! スタウトが一発で好きになりました。お次はジェイムソン蒸留所です。実はアイルランドに入る前にスコットランドを周遊し、スカイ島やアイラ島ですっかりピート香のとりこになっていたわたくし(単純)。ここでも大喜びで試飲を楽しんだのでございます。
翌日はいよいよ車をレンタルして出発です。お供はかわいいプジョー。もちろんナビもカーステもありません。頼りになるのは空港で買った大判の地図と宿泊施設ガイド本のみ。しかし賑やかなダブリンを抜けたあたりから不安は一気に解消しました。のどかな風景と、とにかく走りやすい道。時々羊がいたりしますが、郊外ではほとんど車も人も見当たりません。この日はグレンダーロッホを経由してキルケニーへ。最初の難関が、どこに宿を取るかです。リストには大量のB&Bやゲストハウスが掲載されていますが、データだけじゃわかりません。アイルランド政府観光庁認可の宿にはシャムロックのマークがついているといっても、そんな宿ばっかりで選びようがありませ~ん。もうこうなったら、度胸を決めて飛び込み交渉です!
思い切り魅力的なB&Bとゲストハウス
い、意外とあっさり決まりました。家を離れた息子さんの部屋を改装したという客室は、贅沢にもツインベッドのエンスイート。リバティプリントのカーテンやぬくぬくのブランケットが何ともアットホームな感じで、バスルームも驚くほど広いのです。翌朝の朝食がまた素晴らしかったんですのよ~。ボリュームたっぷりのフル・アイリッシュ・ブレックファストと、近所の牧場から分けてもらっているという手作りバターとフレッシュミルク。その場でスクイーズしてくれたオレンジジュースもまた格別。ああ、これで1人30ユーロなんて、何だか申し訳ない気持ち……。というかホテルより断然魅力的! この時点で、わたくしの「やっぱりホテルの方が安心で気楽」という気持ちはスッパリ消えたのでございます。
続いての目的地はミドルトン蒸留所。急ぐ旅ではありませんから、気が向いたところでB&Bに泊まりつつ、とりあえずウォーターフォードを目指します。ふ~ん、ここはクリスタルが有名なのですね。でもわたくしはアルコールの方が大事! 到着したディスティラリーはびっくりの大きさ。訪問客が少なかったせいか、見学後にスタッフがバンバン試飲をすすめてくれます。恨めしそうなドライバーを尻目に、わたくし飲みまくり(ホホホ)。幸せなひとときでございましたわねえ。
無口な青年と緊張のひととき
その後はキラーニー国立公園やケリー周遊道、バレン、モハーの断崖といった景勝地をめぐり、スライゴーで最後の夜を過ごしました。太古のままの自然や古代遺跡、風が吹きすさぶ荒涼とした大地にかすかに流れてくるアイリッシュハープの音色。エスニックジョークではポーランド人と並んでお笑いのネタにされやすいアイルランド人ですが、ケルトの歴史や文化に愛情と誇りを持ち、当たり前のように日常生活の中に取り入れている姿に触れると、やはり感動してしまいます。ディープなアイルランドファンが多いのも、そんな素朴さゆえかもしれませんわね。
ところで、スライゴーからダブリンに戻る道中のこと。人気のない場所でヒッチハイクをしている青年を発見しましたの。肌寒い夕暮れ。他に行き交う車はありません。「どーする?」「かわいそうだから拾ってあげようか」。乗り込んだ彼は学生で、友人の家に行くと言います。「途中で停めてと言いますから」って何だかアバウト。しかも超無口で話も弾みません。これは……ホラー映画ならかなりヤバイ場面では!? シーンとした車内に満ちる緊張感。気を紛らわすラジオもないし! ドキドキしながら30分ほど走った頃、ぼそりと「ここで」。クールに「サンキュー」と降りて行った彼。あああ、気が抜けた~。これまた忘れられない思い出でございます。
アイルランドの旅はぜひレンタカーで
気の向くままに車で走り、その土地土地でB&Bを探して泊まったアイルランドの旅。スカートもハイヒールも無用の、いわばスッピンの旅でしたが、今でもいろいろなことを鮮明に思い出せるほど印象的な日々でした。みなさまも、お出かけになるならぜひレンタカーで。日本と同じ左側通行ですし、海外ドライブが初めてという方でも、ほんと~~~うに安心してトライできますわよ。そして地味にウイスキーがブームになりつつある昨今、ぜひ本場の味を確かめに行ってみてくださいな。それでは、みなさま、ミスターのお戻りを待ちつつ、またサロンでもお会いいたしましょう。Ciao!
花鳥風月
ウイスキー好きならスカイ島とアイラ島も
先にも触れましたが、ウイスキー好きな方にはスコットランドの西に浮かぶスカイ島とアイラ島の周遊もおすすめです。スカイ島は本土から橋が架かっているため移動もスムーズ。大きな島ですが蒸留所はタリスカーのみ。これがまた個性的なシングルモルトで、お好きな方にはたまりませんわよ~。聞いたところによると新しい蒸留所建設計画が進み、2015年末には生産開始予定とか。待ち遠しいですわね。
もう一つのアイラ島はキンタイヤー半島のターバートからカーフェリーが出ています。車ごと乗り込めるのでこれまた便利です。アイラ島はボウモア、ラガヴーリン、ブナハーヴン、カリラ、ラフロイグ、アドベックなど有名どころの蒸留所がズラリ。またマイクロ・ディスティラリーと呼ばれる小さな蒸留所も続々誕生中で、中にはキルホーマンのように125年ぶりに復活したところもあるそうです。島内のB&Bやゲストハウスにもパンフレットやガイドが用意されており、オーナーがお酒談義につきあってくれることもありますわよ。
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