ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.93

Vol.
93

クラブフロアを使いこなす!

Hyatt Regency Hong Kong, Tsim Sha Tsui

前回のコラム「泊まってみようクラブフロア」に、たくさんの反響をいただきました。みなさん興味がおありのようで「料金だけ見て敬遠していましたが、今度利用してみようと思います」との頼もしい声がある一方、「とても魅力的ですが、ちょっと敷居が高い気がします。スマートに使いこなすコツを教えてください」といったリクエストも多かったですねえ。では、具体的にクラブフロアの上手な使い方をご紹介していきましょう。

まずは手頃な4つ星ホテルでチャレンジ

クラブフロア(エグゼクティブフロアとも)に滞在するメリットは、ワンランク上のサービスや施設が用意されていること。かのリッツカールトンが表明しているように、そこは「ホテルの中のホテル」であり、アクセスが許された人だけのスペシャルプライベート空間なのです。

クラブフロアに泊まってみたいと思うなら、最初からいきなりラグジュアリークラスにチャレンジするのではなく、4つ星スタンダードが確立しているインターナショナル系……そうですね、ヒルトン、シェラトン、ハイアットリージェンシーあたりからチョイスすることをおすすめします。

なぜならこの手の有名ホテルは、みなさんどこかで1~2回は滞在したことがおありでしょうから、さほど気負わなくてすみますし、以前に泊まった客室カテゴリーとの比較がしやすいからです。またデスティネーションが東南アジアであれば、通常の客室との差額も30~60ドル程度と、手頃に設定されているのもおすすめのポイントのひとつなのです。

クラブフロアのサービスいろいろ

たとえば、ビジネスユースにもレジャーにも人気があるハイアットリージェンシー香港尖沙咀のクラブフロアは、21階以上の高層階。ゲストは28階の専用ラウンジでチェックイン・アウトの手続きをします。プライベートコンシェルジュが常駐しているここからは、 ヴィクトリア湾の素晴らしい夜景を一望できます。

インターネット接続は無料、コンチネンタルブレックファストとイブニングドリンクのサービスがあり、ソフトドリンクやスナック類も終日セルフで飲食可。また客室でもインターネット接続が無料で、ネスプッレッソマシンとファインチャイナのティーセットが用意されています。

サービス内容はごくごくベーシックですが、プライベートラウンジのロケーションが抜群なのがウリ。夜はフリーのワインを片手に、大人気のライトショーを特等席でゆっくり見物しましょう。

バンコクのホリディインシーロムは、クラウンタワーにエグゼクティブフロアがあり、プライベートラウンジは23階。ここではフルブレックファストと、夕刻のカクテルアワーにアルコール類や軽食を提供。屋外に喫煙スペースもあります。

ゆったりとした造りと眺望の良さが魅力で、エグゼクティブの客室も豪華。入室するとウエルカムフルーツ&チョコレートが出迎えてくれ、毎朝の新聞配達もあります。ラウンジと同じく室内でのインターネット接続無料。とにかく部屋が広くて快適ですし、フードプレゼンテーションも充実しています。

都市部では旅の目的や同伴者を考慮して選ぶ

と、まあこのようにサービスの内容をチェックし、自分の旅の目的に合っているか、また滞在のプラスになるかどうかを確認してみるのです。ビジネスユースの場合は、何といってもサポートの充実度が決めて。インターネット接続無料、プレスやランドリー無料、靴磨き無料、ファクス送受信やプリントアウト無料、客室からの市内通話無料、ジム・プールへのフリーアクセス、ビジターのプライベートラウンジ利用無料やダイニングの優待等々が網羅されていれば、これは滞在する価値大いにありといえます。

都市部のホテルのクラブフロアを利用する場合、注意が必要なのは子連れでの滞在です。客室にいる分には問題ないのですが、子供のラウンジ利用に別料金が発生するホテル、アルコール類が供される夕刻以降は子供のラウンジ利用不可のホテル、さらに子供はラウンジそのものの出入り禁止というホテルもあります。

たとえ利用できたとしても、もしラウンジで子供が騒いだりはしゃいだりしたら、親はさっさと連れ出すべし。特に欧米では大人と子供を厳格に区別しますから、パブリックの場で子供に甘い親(アジア圏に多いですね)は非難の的。「お金を払っているゲストだ、何が悪い」といった傲慢な態度は通用しませんので、くれぐれもご用心を。

大人も子供もうれしいリゾートのクラブフロア

一方、レジャーユースの場合はファミリーゲストを意識したサービスが充実しています。子連れの旅であると嬉しい特典としては無料の空港送迎、無料のシッターサービス、ラウンジの終日オープンとフードプレゼンテーション、チェックイン前後のラウンジ利用可といったところでしょうか。

早朝便で到着した時は荷物を預けてラウンジで 疲れた体を休めることができますし、深夜便で帰国の場合も、ラウンジで出発前にシャワーを浴びたり、移動の煩わしさや出費を考えずにぎりぎりまで飲食を楽しむことができますね。そう、時間つぶしと飲食は子連れ旅の最大の難関(笑)。クラブフロアのサービスは、その双方をきっちりカバーしてくれるというわけです。

同じハイアットリージェンシーでも、ワイキキビーチリゾート&スパの場合は、都市部とはサービスの内容がやや異なってきます。クラブフロアはダイヤモンドヘッドタワーの35階以上の設定ですが、プライベートラウンジは同タワーの3階。改装後にかなり広くなり、屋外テラス席も追加されました。オープンは6時半から20時半までで、コンチネンタルブレックファスト、スナックやソフトドリンク類のデイタイムサービス、夕刻はオードブルとドリンク(アルコールは有料……ククッ残念!)、その後もデザートやコーヒーがサービスされます。

滞在するメリットはクラブフロアの客室の眺望の良さと、いつも大混雑のチェックイン・アウトやブレックファストが、専用ラウンジでゆっくりできることですかねえ。ペイするかしないかと言うよりは、優雅な時間を確保したい人、喧噪から離れてのんびりくつろぎたい人向けのクラブフロアです。

自分もワンランク上のゲストに

ビジネスパーソンにとっては旅先のオフィス兼情報収集の場であり、リゾートでは子連れ旅に想像以上のお得感を与えてくれるクラブフロア。ですが忘れてはいけないのが、このカテゴリーはゲストもワンランク上の振る舞いを求められるということです。シティホテルのラウンジではラフすぎる服装は考えものですし、フリーだからといって意地汚く飲み食いするのももってのほか。

スタッフとはにこやかにコミュニケーションを取り、不満があっても声を荒げたりしない。子供が一緒なら、お手本になるような態度とマナーを心がけ、またそれを教える格好の機会にする。ホテルが認めたグッドゲストであれば、リピートした時にきっともっと温かく迎えてくれることでしょう。そう、クラブフロアでの滞在を特別なものにするのは、すべてあなた次第なのです。

花鳥風月

クラブフロアのないホテル

昨今は差別化政策から3つ星クラスでもクラブフロアを設けるところも増えてきましたが、反対にクラブフロアの存在そのものと無縁のホテルもあります。その代表がごく小規模のプライベートホテルや、いわゆるブティックホテルと呼ばれるところでしょうか。ヨーロッパの古い建物を利用したホテルもそうかもしれません。こうしたプロパティは客室数が少ないため、差別化などしなくても(というか実質的にできない)、ホテル全部がクラブフロアのようなもの。

リゾートではヴィラタイプだと、やはりクラブフロア的な差別化はあまり見かけません。高級ヴィラともなれば各ヴィラにバトラー、ショーファー、コックまで待機した徹底的なパーソナライズドサービスを提供していますから、通常のクラブフロアとはまた異なった贅沢な滞在が満喫できるわけです。反面、ラウンジなど専用のパブリックスペースに出かけていけば、何かある、何かしてくれるというサービスではないため、ある程度自主性が求められます。「受け身の方がラクだわ~」と言うタイプなら、ホテルのクラブフロアの方がお気楽でしょうね。