ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.43

Vol.
43

思い乱れてヤンゴン~33年ぶりのミャンマー~

Bagan Thiripyitsaya Sanctuary Resort

バンコクから飛行機で約1時間、タイの国境を越えると突然真っ平らな大平原が現れました。チャオプラヤ川の2倍はあろうかという滔々たる流れはエーヤワディ川。その恩恵でしょうか、木々はなくても大地が肥沃なことが上空からもはっきりわかります。ミャンマー行きの機内は3列。ショートフライトにもかかわらずきちんとエグゼクティブクラスが設けられ、ホットミールも登場。にこやかなサービスは大国の航空会社と遜色もなし。33年ぶりのミャンマーは、最初から驚きの連続でした。

首都ヤンゴンで目に飛び込んできたものは

ミャンマーといってもピンと来ないのはおそらく年配の方でしょうね。私も含め、やはりビルマと言った方が「ああ」とうなずいていただけるのではないかと思います。実際、ビルマは今でも西側諸国が認める国名は「ビルマ」なのですが、軍事政権により本来の現地呼称「ミャンマー」と改称。今日でも軍事政権を認めていない国や団体は「ビルマ」を使い続けています。ま、もともと「ビルマ」も宗主国だったイギリスが付けた名前ですから、西側論理の押し付け(?)ではと・・・。

2010年2月時点では外務省の危険情報で「十分注意してください」の勧告が出ていたミャンマーですが、実はバンコクに出ている勧告も同じ文言だったんですな。何しろメディアでは民主化運動を弾圧する・・・そんな不穏なイメージばかりがフォーカス報道されていますから、私も渡航前は軍政・統制・どこかの将軍様などを思い浮かべ、ちょっとばかり不安でした。でも、ミャンマーで観光業に携わる知人の「ぜひ、実際のミャンマーを見て欲しい」という真摯な願いに突き動かされ、機上の人となったわけです。

「世俗」から遠く離れた豊かな精神

結論から申しますと「何だここは!?」。とにかくいい意味で驚きの連続でした。降り立ったのは人口500万もの大都市ヤンゴン。ちょっと身構える私の目に飛び込んできたのは、人々の穏やかな表情でした。確かに全体的に貧しく古ぼけた印象は拭えませんが、何というか・・・みな幸せそうなのです。ふと目が合うとにこやかに恥じらう女性たち、ビシッと背筋が伸びた素朴な男性たち。身につけているロンジーや白いワイシャツは清潔で、ヨレヨレの服を着ている人は見あたりません。ふれ合う誰もが親切で奥ゆかしくてにこやかで、中進国化したタイのような生臭さや気の抜けない小ずるさみたいな空気がないのです。

とても感じ入ったのは、ここには「足るを知る」生活があるにだなあということ。ひとりひとりが本来の分をわきまえ、自然と神と共に生きる人間本来の営みを行っているからなのでしょう。カネだ、セレブだ、勝ち組だとかのまことに鬱陶しい欲望、嫉妬、格差、そして、そう、卑しさみたいなものがないんですなあ。異論はありましょうが、これはある意味、メディアが統制されているよい影響ではありますまいか。まさに「清貧」という言葉がぴったりな国なのです。

とはいえ疑問もあります。ビルマ王朝時代から民族対立や周辺諸国、列強との戦闘の歴史を有する国。近年の民主化・自由化運動の激しさを見ても、ミャンマー人の自己主張の強さははっきりしていますよね。なのに、それが表面に出てこないのはどうして? 町を歩いていても、ハノイの市場で感じたような陰のある不穏さが全くないのはなぜ? 軍事政権と言いながら、街には軍服姿はなく、犯罪がほとんどなく治安はよく、恋愛や宗教に規制がなく(モスクや教会もあります)、政治的な行動以外は国内での行動はかなり自由度が高く、不満がないというのも不思議な感じです。

リタイア後はミャンマーでゴルフ三昧!

軍政のミャンマーには観光客はまだまだ少なく、増加傾向にあるのは隣国タイからの訪問者といったところ。お目当ては世界遺産クラスの仏教遺跡が中心ですが、私が驚いたのはゴルフ。ヤンゴンだけで10以上ものゴルフ場があり、現地の人達に相当に浸透し一般化しているんですね。設立1909年という名門ヤンゴン・ゴルフ・クラブや、ゲーリー・プレーヤー設計のバンライン・ゴルフクラブなど、いずれもなかなか秀逸なものも多く、しかも、ですよ! この価値にしてビジター料金が、英語コミュニケーションが可能なキャディ付きで40ドル未満と、信じがたいほどの安さなのです。地元の人はもとより、ユネスコや国連関係者も平和過ぎて多忙ではないのか、連日のように・・・(笑)。

そんなわけで、リタイア後のロングステイ先として、バリ、ルアンバパンなどを候補に上げてきた私ですが、もはやヤンゴンはぶっちぎりのナンバーワンに躍り出ました。贅沢ライフとは無縁ですが、何をおいても人が良く、治安がよく、物価が安く住みやすい。生活費は、外食、ゴルフなど遊行費を入れても月額5~10万円程度。年金で十分やっていけるし、アジアのどこよりもゴルフ三昧生活が可能です。そして買物や世俗的な欲望を満たしたければ、飛行機でたった1時間のバンコクに行けば気がすむでしょう。

留意点は衛生と交通機関、ちょっとインフラ

あえて問題点を挙げるとすれば衛生面ですかね。こればかりはタイやバリと変わりません。と言っても胃袋が慣れない間は屋台のものをむやみに食べたりしなければいいわけで、町そのものはかなり衛星管理されており清潔といえるでしょう。見ているとみんな食べ物カスなどをポイ捨てしているのですが(そういう習慣らしいのですが)、もともと物資が少ないのでたいした量にはならないし、夜中にきちんと掃除もされ、朝にはキレイな道路に元通り。もう一つは交通機関。公共バスは33年前と同じく常に満杯でしたね。ぶら下がっている人がいなくなっていたくらいの差・・・。バスなど日本のお下がりもかなり多いですが、日本語がデザインとしてオシャレらしく、あえて「昔の名前で出ています」状態です(笑)

また坂が多いし高温なので自転車はつらいですね。バイクは規制されているそうで、公務以外ではほとんど見かけません。滞在中に利用するとしたらタクシーがいちばん手軽で安心ということになります。そうそう、毎日停電があることもお忘れなく。インフラがある程度規制されていますからエアコンやエレベータがない建物もまだまだ多いかもしれません。現在、携帯電話は国内仕様に限定されて持込機種は使えません。インターネットにもセンサーチェックが入りますから、パソコン、通信環境もメディア同様規制中です。ただ、携帯やインターネットなども必要最低限でも「足るを知る」ならば、十分といえるかもですね。

羨ましい「足を知る」穏やかな暮らし

民主主義が唯一の正義という大国論理の押し売りや、ノーベル賞経済学者までもがその知恵で世界を狂わせ混乱させる拝金主義、自由という名の無節操無秩序に満ち溢れた現代社会に身を置く我が身には、ミャンマーの人々の「足るを知る」穏やかな暮らしぶりやメディア毒がない世界、羨ましいほどに素敵なのです。ところで、ミャンマー人には名字がなく、同じ名前も多いのだとか。でも、役所も警察も絶対に人間違いをしないそうですよ。そんなエピソードも何だか微笑ましく(?)印象的でした。聞くと見るとは大違いのミャンマー事情。みなさんも、ご自分の目と足で確かめてみてはいかがでしょうか。

花鳥風月

ヤンゴンのホテルあれこれ

ストランド ヤンゴンは、誰もが認めるトップクラスのホテル。かのアマンを抱えるghmホテルズの系列で料金も破格です。思い起こせば33年前、私が初めてヤンゴンに行った時の滞在がここでした。当時はストランドミャンマーという名前で、インターナショナルホテルチェーン世界最古と言われるサーキーズの1軒。客室バスルームの天井に可動式のシャワーがあったことを鮮明に覚えています。おそらく最も早いレインシャワー採用ホテルだったのではないでしょうか。今回見たところもうありませんでしたが、高級チーク材をふんだんに使ったメインダイニングやバーなどは往時の姿で残っています。

立地がよく料金が手頃、過不足のない設備でビジネスマンにも定評があるのがトレーダーズ ホテルヤンゴンです。朝食が和洋中ローカルととにかく種類豊富! 客室も広くどんな目的の滞在にも格好の起点となってくれるでしょう。さて、あなたがもしタイから移動してきて、手持ちのチャットが切れてしまった場合は、ロイヤル湖畔にあるチャトリウム ホテルヤンゴン(旧ニッコーホテル)に行くといいでしょう。ここのオーナーはタイ人。故に館内ではバーツが通用するのです。チャットがあまりそうになったり両替したいときなどには、ここで食事を済ませるのもいいアイデアです。私はスパでしっかりバーツ精算してみました。

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