ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.40

Vol.
40

これぞオトコの旅支度

Four Seasons Hotel George V Paris

最近は以前のように気軽に海外に行けない・・・とお嘆きの方も多いかと思います。となると、1回1回の旅行は大変貴重なイベントになります。「何となく」ではもったいないから、現地での過ごし方までじっくりシュミレーションする。従って、旅に対する意識がより深いものになる。と、まあ、考え方によっては、この不況にも何かしらの意味があるのかもしれませんね。

オトコも荷物を減らしたい!?

昨年末、日本の航空会社による機内持ち込み規制が波紋を呼びました。スーツケースのサイズが小さい場合は、持ち込んだ方がバゲッジクレームの時間を短縮できるので確かに便利ではあります。しかし、あれだけトラブルがあるとすれば、規制もやむなしという感じでしょうか。この変更でいちばん割を食ったのは、出張族のみなさんかと思います。効率的な移動を第一とし、せっかく磨きをかけて最小化パッキングをマスターしたのに・・・なんて気持ちの方も多いかもですね。

ところでマダムヨーコが「旅の荷物を減らしたい」をテーマにしたところ、マダム曰く「いつも気になるナゾのエグゼクティブ」ナノメートルさんから、男性の旅支度に関するお便りが届いたのだそう。ぜひにとご紹介願って一読、いや素晴らしい。全くもってその通りという的確な内容ばかりではありませんか。そこで今回は、ナノメートルさんのご提言とともに「オトコの旅支度」指南なぞしてみようかと思います。

備品は旅先で&デジカメは不用なり

まずは出張の場合の手回り品軽減について。

■パソコン用に2ピンの小さい変換プラグのみ持参。英国圏など大型のものはホテルで借りる。ただし遅い時間だとストックがなくなるので、チェックイン時に必ず確保する。

■カメラは携帯電話で代用。性能がいいので遜色なし。よってデジカメ用備品も不用。

と、ナノメートルさんからのアドバイス。デジカメについては、そういう手もあったか!という感じですねえ。記念写真くらいなら、まさしく携帯付属のカメラで十分という気もします。

メールやドキュメントのチェック等々、最近はそれこそたいがいのことは携帯やスマートフォンで処理できますし、緊急避難的にはホテルのビジネスセンターを利用すればいいですからね。私の場合、現在は仕事柄ネットブック+デジカメ+3G+GSM携帯を常時持参します。実際、iPhoneかアンドロイド携帯のようなスマートフォンさえあれば、それこそ1台でほぼOKですよね。

アダプタは、ゴーコン(GO!CON)社製の海外電源プラグ変換アダプタ RW34C万能型から、タイプ別の150カ国対応Worldwide Travel Adapter Set(英国製)まで取りそろえています。ただ、さらにホテルによって差込プラグのフレーム形状がアダプタに対応しない場合があったりと、いろいろ痛い目にあった経験から、結局行き先別・ホテル別に適応するタイプを2つ持参しています。ナノメールさんがおっしゃるようにホテルの貸出アダプタは簡便です。ただ若干大きめの万能型が多く、3ピンタイプ以外ではその重さから差込が緩みがちな場合があり、いつも間にか抜けていた・・・なんてこともあります。よって若干注意が必要ですね。

オトコのジーンズはブラックで決まり

さてさて、ナノメートルさんの提言で「そうそう!」と膝を打ったのが、旅のファッションに関すること。これは絶対に役に立ちますぞ。

■スーツではなく、色を合わせた(デザインのしゃれた)ジャケット、ズボンにする。ジャケットはジーンズと組み合わせ可能にするため、いかにも背広の上着というのはやめる(ちなみに私の場合はいつも黒)。したがってオフ用のブルゾンやセーターなどは不要。

■出発から帰国まで基本はジーンズ。ただしブルージーンズはNG。ブランドもののジーンズがおすすめ。

この2点はビジネス出張対策とはいえ、通常の海外旅行でも応用できる大切なポイントです。実は私も、基本はブラックジーンズ(スーツを作っている会社のジーンズが基本)+ショートブーツというのが、長年の定番スタイル。体型的にピッタリ、オータレーションも全然なくて大丈夫なのはアルマーニのジーンズなのですが、いかんせんお高い(苦笑)。最初にキメの1本を買おうと思い意気込んで出かけてみたものの、2万だの3万だの。何じゃこの値段は!? と目を剥いたものです。しかしですな、コレが使えるんですよ。ブラックジーンズとジャケットというのは、ほぼオールマイティ。別にブランドまでチェックされているわけではないでしょうが、トレンディなバーから、かなりラグジュアリーなレストランまで、問題なく入店できるアイテムです。ちなみにナノメートルさんも「ノーベル賞で有名なストックホルムのGrandHotelのレストランVerandaでも、ジーンズ・ノータイOK」だったそうです。

スーツもいらない!

スーツについては、私もいろいろ苦労してきましたねえ。若い時分は、それこそ何着も用意して、それに合わせてシャツ、ネクタイ、ソックス、シューズと何セットもガーメントバッグで持ち運んだものです。もちろんマストフォーマルの場があるときはスーツを用意しますが、現在ではナノメートルさんのようにセットアップで対応しています。カラーコーディネート、そしてテキスタイルの質感を調整すれば、場合によってはスーツよりはるかにエレガントです。といっても、ツイードや肘当て付きのようなアイテムはいけませんぞ。コレはあくまでもカジュアル用ですので、お間違えのないように。

またシャツと下着については、「会議で必要なワイシャツ類は2着、汚れたら高いがホテルのランドリーへ頼む」「男性の下着は着替えと予備を含めて計3セット」「洗濯はホテルでまめに。干す前にバスタオルで巻いて足で踏んで脱水しておく。これならジーンズでも一晩でOK」とのことです。補足しますと、シャツはシワやヨレの目立ちにくい、やや濃い色のピンストライプを選ぶといいですよ。数時間袖を通した程度でひどく汚れていなければ、ハンガーに掛けて1日室内干し(室内ではエアコンに当てて風通し)しておけば、また着ても大丈夫だと思います。

コートはデザイン優先でおしゃれに

■寒いところに行く際にはいかにもビジネスマンといったコートではなく、やはりしゃれたデザインのものを。北欧やシリコンバレーなどドレスコードのうるさくないところにはダウンジャケットのようなものでも可。

ナノメートルさんの言うように、コートは行き先や状況を考えてチョイスするといいでしょう。ちなみに私は、かさばるコートは持たない「首保温派」です。冬のヨーロッパの都市部なら、カシミアのジャケットに保温に優れたインナー、そしてマフラー(首)と手袋(手首)があれば十分温かく過ごせます。シューズは動きやすくビジネスシーンでも違和感のないショートブーツ(足首)が便利です。足首を隠すちょっと長めの丈が実に温かいんですよ。アクティブに動き回るならば、シックなスニーカーを1足持参するといいでしょう。ブラックレザーのスニーカーなら、ジャケットスタイルにも合わせられます。

カラーは白・黒・グレーで展開

そんなことを言われてもおしゃれに自信がないし、センスよく選べない・・・という方もいらっしゃるかと思います。そんな方に旅支度選びの最大の秘訣を教えしましょう。それは「白・黒・グレーでまとめてしまうこと」です。あれこれ色を使おうとするからコーディネートが難しくなるのです。その点、モノトーンでそろえてしまえば、スタイリングも楽ちんでしょう。そして何よりも白・黒・グレーまとめは、(ブラックタイというように)フォーマル色でもあり、汎用性が高いセットアップなのです。もちろんバカ高いブランドもののモノトーンアイテムを購入する必要はありません。クリーニングやプレスなどの手入れさえちゃんとしていれば、そこそこのお値段のものでも、見栄えは文句なし。それどころか、旅の定番としてかなり長い間役に立ってくれると思いますよ。

お土産は帰国便を待つ間に購入

重量のあるビジネス機器や備品を持たず、スタイルが限られるスーツも持たず、気に入ったベーシックアイテムで全シチュエーションを乗り切る。これぞオトコの理想的な旅支度。最初は不安になるかもしれませんが、とりあえずトライしてみてください。最後に、旅の終わりまで荷物を少なくする方法をナノメートルさんに伝授していただきましょう。

■定番のおみやげ(チョコレートなど)は、少し高くつきますが最後の空港でパスポートコントロールを通過後に買うこと。ブランドものでも面倒な免税手続きが不要になります。また往路のフライトで機内免税品をチェックしておくことも忘れずに!

免税店では購入できる種類は限られるとはいえ、義理土産ならそれで十分。特に移動が多く、滞在時間が限られるビジネス出張のときに役立ちそうですね。次回は、オトコの旅支度の続編。パッキング・持っていくもの&いかないもののお話です。旅支度にこだわりをお持ちの男性のみなさん、あなたのアドバイスもお待ちしておりますゾ!

花鳥風月

パリであの日本ブランドのショップに大行列!

先日、パリに滞在中、すごいものを見てしまいました。夕方にオペラ座方面に向かって歩いているときです。妙に人が集まっている気配がある。どうやら行列ができているらしい。えっ、あの並ぶことが大嫌いと言われるパリジャンが!? いったい何のために・・・と思って近づいてみると、何と何と。目に飛び込んできたのは、お馴染みのロゴ。あのユニクロのショップなのです! いや、驚きましたね。入店制限がされるほどの人気とは。品質のよさ、値段の安さ、そしてスタンダードながらトレンドを取り入れたデザインが、彼らの心をとらえているようですが、ついにユニクロも本当の世界的ブランドになったのですね。パリのテレビで流れていたコマーシャルもかなりアバンギャルドでした。日本人として、ちょっぴり誇らしい気持になった、初冬の夕暮れの出来事でした。