ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.37

Vol.
37

ツェルマットで稀有なゴルフイベントにエントリー

Zermatt Tourismus

今年の夏はさんざんでした。それもこれも、無理だろーっというスケジュールで各地を飛び回ったため。日本から乗り継ぎでジュネーブに入り、そのままカイロへ。再びジュネーブに戻りフランス、スイス各地を移動した後、鉄道で一路イタリアはヴェネツィアへ、最後にまたまた乗り継ぎで日本。帰国したと思ったら、すぐハワイへ飛ばなくてはならず・・。これで体内時計はめちゃくちゃ。眠れず休めず絶不調の毎日だったのです。

マッターホルンイーグルカップに日本人として初出場!

いや、最初はうまい具合に体がジェットラグに対応していたのですよ。しかし、各地で飛行機のディレイに見舞われ、予定が狂い、しかし仕事は待ったなし。気がついたら・・・声が出ない・・・。ああ、これはドクターに言われるまでもなく過労です。それでも、10月の声を聞いてようやく復調しつつありますが「とにかくどこかでゆっくり夏休みしたいナ?」と。

それはさておき、日本のお盆にあたる時期は毎年スイス訪問が恒例になっている私ですが、今年は全く初めての経験をしてしまいました。「マッターホルンイーグルカップ」に、個人としてもまた日本人としても初めて出場したことです。山岳国スイスは近年静かにゴルフブームが進行しつつあります。そんな兆候の中、実にスイス的なイベントです。2009年で第18回目となるこの大会。どこで開催されるかといえば、タイトル通りマッターホルンの麓、ハイカー、トレッカー、アルピニスト憧れのツェルマット。登山鉄道3000m超の山頂駅ゴルナーグラートのひとつ下、ローテンボーデンからリッフェルベルクの間に9ホールを設置・・・となんだかもう、すべてが非現実すぎますか? いえいえ、決して妄想などではありませんゾ!

好事家の垂涎の特別イベント

マッターホルンイーグルカップは、そもそも地元社交界のイベントとしてはじまったようです。当時のコースはシュヴァルツゼーで6ホールのみ。これが次第に富裕層の間に有名になり、ローテンボーデン・リッフェルアルプ間に場所を移し、9ホールに「拡大」。さらにオメガ、クレディスイス、シンドラーといった一流スポンサーも付いたというわけ。

この稀有なイベントは、スイスのみならず欧米の財界人や好事家の垂涎の的。エントリーできるのは招待者130人だけですから。ウエイティングリストに名を連ねていても、ほぼ見込みなしという、知る人ぞ知る大会なのです。今回私が参加できたのも、理事に招待され、たまたま欠員ができての「繰り上がり当選」。幸運の一言であります。

草をかき分け岩を巡る「ハイキングコース」

さてコースです。ふつうのゴルフコースを想像しないでくださいよ。きれいなフェアウェイでもリンクスでもありません。ローテンボーデンからリッフェルベルクというのは、標高2800~2500mというナチュラルな山肌ですから、あたりは高山植物が咲き乱れ、低草木がはえ岩や石がゴロゴロ、マーモットの巣穴ありとまごう事なき「ハイキングコース」(笑)。ここに1m四方のティーグラウンド、グリーン(と見なす地肌面)、直径70cmのバケツサイズのホールカップが大会にあわせて設置されます。エコにうるさいスイス人らしく実に簡素。というか、そのまんま。それでも、ショットの際に自然に少なからずダメージを与えるわけですが、それについては「年に1回だからネ(ウィンク)」なのだそうです。

プレーヤーは好きなクラブ3本を用意し、自分の登録番号が書かれた専用イエローのカラーボール3つが配布されスタートします。もちろん全ボールがロストしたらリタイアです。私は5番ウッド、8番アイアン、サンドウェッジをチョイス。ちなみに、このクラブは現地の友人から借りたものですが、もう、練習ギアのボロボロ・コンディション。他のプレーヤーに「なんだ、それは!?」とバカにされるほどの“逸品”。しかし、これがドはまりしたのですから、ゴルフとはわからないものです。

トータルで130人中第19位に!

通常は5番ウッドで200ヤードそこそこなのに、あのボロクラブで自分でもビックリの250ヤード! 落下地点によっては山の斜面をコロコロ転がり落ちるからだけじゃなく、標高が高いことが影響するゴルフを初めて経験。もう面白いように飛ぶ。2番手違うって感じでしょうか。まさか届かないだろうと打ち下ろしショートは、グッショッ! エッエッ?、アッと言う間にグリーンオーバーして崖下に・・・。そんなこんなの珍道中ゴルフ。結果3バーディ、1イーグル(!)を出してもロストや大叩きホールで結果ツーペー。でも、なんと総合第19位という成績を収めてしまったのです。

と書くと、大変イージーなお遊びコンペと思われるでしょうが、実はこの大会、各ホールにウイットネスが配置され、すごく真面目なのです。ボール探しは5分以内(本当にあっという間にボールが“消えて”しまう!)など非常に厳格なルールがあり、ぶ厚いルールブックも配布されるのです(すべてドイツ語ですが)。そしてスポンサーがスポンサーなだけに賞品もなかなか豪華。てなわけでマジメに優勝狙いをしている熱いプレーヤーもいるんですなあ。私の同組にもそんな人物がおりまして、私が「わあ、入っちゃったー」なんて楽しんで、しかも最後はイーグルまで出したものですから、みるみる不機嫌に(苦笑)。いくら平静を装っていたって、丸わかりだったのがおかしかった・・・。

社交界のオモテ・ウラまでかいま見て大満足

4ホール後、ゴルナーグラートでヴルストやワイン、ジュースが振舞われ、ホールアウトしてシャンパン付きランチ。夜にはツェルマットのホテルでレセプション&ディナーパーティ、それもシッティングのフォーマルディナーですぞ。思い思いに着飾ってきた紳士淑女の面々は、5分以上もロストボールを探し続ける執念深さや、絶好調の他人に拗ねちゃうようなお子様ぶりはどこへやら。ビシっと変身、さすがの貫禄でありました。

かねてよりその存在は知っていたのですが、実際参加してみると、マッターホルンイーグルカップは、思った以上にユニークでまた仰々しい大会でもありました。来年は・・・どうかな。またチャンスがあったらぜひ参加したいですね。何しろ、3本も杖持ってみんなでハイキングなんて(!?)、こんな愉快なイベントはありませんからね!

花鳥風月

ゴルフの後はエーデルワイス

今年のツェルマット滞在を思い出深いものにしてくれたもうひとつの存在がエーデルワイスです。雪の多かった年は特に美しく咲くのだそうですが、今年はもはや乱れ咲きといってもいいくらい。あそこにも、ここにも、という感じで、しかもひとつひとつの花がピンッとしていて、本当にきれい。私自身こんなに大量のエーデルワイスを見たのは初めて、うっとりしてしまいました。

ただし、そこはもちろん地図にマークなどなく、上がっても下っても標高差1000mの歩きが必要なちょっと過酷な場所。そんな訳ですれ違うのはほとんど地元の人。定宿に戻ってから、親しいオーナーと「今日行ってきたよ」「じゃあ、私も明日・・・」などと、なぜかヒソヒソ声で。やはり地元の人は、みんな知っているんですねえ。自然条件次第なので、また来年、ってわけにはいかないかも、ですね。

マイフェイバリットホテル

クランモンタナを一望する優雅なシャレー / Le Crans(ル クランス)

確か第2回目に取り上げておりますが、日本ではまだメジャーではないスイスの高級高原リゾートのクランモンタナ。このクラン村の山頂といっていい場所にル クランスという新しいリゾートホテルが登場しました。全13室オールスイート。アンティークのパイン材と石がメインのシャレーですが、もう、デザインが圧倒的に優雅なのですな。広々とした室内はチロル風のファブリックが可憐さを添え、燃える暖炉が安らぎを与えてくれます。バスルームはバブルジェットや専用テレビ付き。ホテルには24時間ショーファー付きメルセデスが待機しており、リクエストに応じてどこでも送迎してくれます。何もかもが贅沢なのです。

朝食も素晴らしかったですよ。オレンジジュース、コーヒー、フルーツカルパッチョがセットで供され、後は好きなものを好きなだけオーダー可。このフルーツカルパッチョが絶品なのですが、それを上回るのがオレンジジュースのおいしさ。大げさでなく、これまで飲んだ中で最も美味だと思いましたねえ。またレストランの一角にあるワインバーは、チャージ式のカードで好みのボトルからセルフサービスで注ぐというユニークなシステム。フレッシュな状態でワインをキープできるというアメリカ製のマシンを使っていて、自分で操作できることもありゲストや、地元ワイン好きに大人気でした。ワインそのものもスイス産の上物です。さて、このリゾート、ご想像通り料金も高級。ゲストもプライベートジェットでやってきて長期滞在するようなアッパークラスが大半です。しかし、雰囲気はのんびりしているし、スイスらしいホスピタリティも満点。一度滞在すればきっとファンになるはずです。