ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.26

Vol.
26

北ベトナムは想像以上のなごみワールド

Sofitel Legend Metropole Hanoi Hotel

マダムがホーチミンでの雑貨選びに目の色を変えていたのはつい先頃のこと。「ベトナムは、なんだかんだ言って日本人には相変わらず人気のようですわよ!」との報告を受け、私も一路ベトナムへ飛ぶことにしました。しかし、思った以上に広い国ですなあ。あれこれ悩んだ末にベトナムは三分割と結論。今回はターゲットを北に絞り、ハノイを中心に動き回ることにしました。

霊験あらたかなホーおじさんバッヂ

私がハノイ入りした日は、折しもベトナムの建国記念日。ホーチミン博物館へと続く道は、もはや2km以上も手前から恐ろしいほどの大混雑。ポリスが交通整理にあたっているものの、タクシーはうんともすんとも動きません。仕方なく車を降りて徒歩で向かったのですが、あたりは全国からホーチミン詣でに繰り出してきたとおぼしき「人民」ばかり。ホーおじさんの威光は今なお輝いているのですな。もちろん博物館も人・人・人の群れ。外国人の姿はほとんど見かけませんでした。売店で買ったホーチミンのバッヂを建国記念日でもあり敬意を表してシャツに付けていたら、これがバカ受け! 「Very Good!」と、行き交うみなが非常に好意的になり、いい思いをたくさんしてしまいました。

素朴で欲のない人々にびっくり

それにしても、ハノイの人々は驚くほどに素朴で欲がないようですね。なにしろ「ぼる」ということを、ほとんどしないのです。たとえば、○○マーニのサングラスのコピー(商品はカンペキ)が、たったの5ドル。これ、中国なら、コピーでも100ドルは吹っかけてくること間違いなし。しかも値段交渉は、そばに立っていたライター売りのお兄ちゃんが通訳を買って出てくれて・・・。

もちろん、あとで「ライター買って。5ドルでいい」とせがまれましたが、ノンスモーカーだからと断ったらもうそれ以上しつこくつきまとってこないのです。しかし! サングラスショッピングをすませてカフェでお茶しているとき、ふとガラス越しに外を見ると、彼がじっと立って微笑みかけてくるではありませんか。すでに30分以上は経過しているはず。たった5ドルだもんな・・・でもタバコ吸わないし・・・悩むなあ・・・でもナイスガイだから買ってやろうか・・・。ついにそう決心して、外に出ると、あれ!? もう彼の姿がない! 肩すかしを食らっちゃいました。ホントわけわからないけど、ギラギラしていないことは確かです。

とにかく物価の安さがハンパじゃない

コピーのサングラスだからというわけではなく、ベトナムは全体的にまだまだ物価が安いですね。マダムも屋台で二人で食事をし、4品+ビール3本で日本円で約700円だったとコーフンしていましたが、いや、確かに確かに。私が見つけたフットマッサージ店は、1時間でたったの6ドルでした。ま、テクニックは素晴らしいとは言えませんが、一生懸命やっているのがけなげだし、かわいいから許す! 気に入って3日間通いました(笑)。毎日の強行軍は、このおかげでぐっとラクになりましたっけ。

他にもいろいろ見て歩きましたが、やはり値段は中国やカンボジアよりもかなり安いような気がします。私は東南アジア仕込みですから当然バンバン値切り倒し派なのですが、なんだか値切るのが申し訳ないような金額ですらあります。また交渉アイテムとして、さっと電卓が出てくるのもわかりやすくていいですね。今回のヒットは、ちゃんとしたブティックで見つけた100%シルクのブラウス。値札は45ドル。私は交渉を5ドルからスタート(マダムに話して「鬼!」と言われました)。最終的には10ドルでゲットしましたが、さすがに塩を撒かれそうになりました。

それでも密かに感じる「闇」の部分

こんなふうに全体にぬる?い感じのハノイでしたが、ホーチミン博物館の近くにあるゴックハー市場に足を踏み入れたときは、一気に身が引き締まりました。ここは地元の人たちが買い出しに来るような本当にローカルな市場で、売り物の肉塊がゴロゴロしていたりと非常にワイルドなムード。ワイルドなんて格好よすぎかもしれません。ハッキリ言って、どこか暗く怖い雰囲気が立ちこめているのです。勇気を出して写真を撮ろうとすると、鋭い目つきのオジサンやオバサンに「シッシッ」と追い払われます。昔から受け継がれてきた高いプライド、簡単に外国人を受け入れない用心深さと頑なさ。もしかするとベトナム人の本質はまだここにあるのかもしれません。

エクスカーションは事前の情報収集で差が付く!

さてさて。気を取り直して、ハノイからのエクスカーションのお話を。ハロン湾は、翡翠色の海に林立する岩石群と水墨画のような景観で有名な世界遺産。ぜひこの目で確かめたくて計画を立てたのですが、ハノイからは片道4時間。最近のトレンドは船中泊かホテル泊の1泊のツアーが基本になっています。でも、そんな時間はありません。必死に町中で情報を集めたところ、ふっふっふ。あるところにはあるんですねえ。ミニバスで行くデイツアー、クルージングランチ付きで20ドル! すごい。もう、値段自体があってなきがごとし。ほくほくで手配をし16人乗りのバスに20人が詰め込まれて、イザ出発!

世界遺産のハロン湾でイターイ船遊び

どうやらこのツアー、ローカルが対象のようです。乗客はほぼベトナム人。何を言っているのか全然ワカラナイ。英語を話すハノイ人に聞くとハロン湾は誰でも一生に一二度は行くところ、と。でも、まあ、何とか無事に到着です。いよいよ名物のジャンク船でクルージング開始。出港地であるバイチャイ湾には十数社のクルーズ船が係留しており、スタート時間はほぼ同じ。よって多数のジャンク船が前後左右にひしめく勇壮な眺めも楽しめるのです。お、遠くに岩石群が見えてきました・・・うーむ。水が汚い。風景も思ったほど水墨画じゃない。これで本当に世界遺産? わき上がる疑念を胸に船は進む。それでも、クルージングの目玉である鍾乳洞の探検はなかなかのもの。ライティングが実に幻想的です。そして新鮮なシーフードランチも美味。あとは、のんびり帰港するだけ・・・。

素朴だけれど、何か深く暗い闇を抱えているようなハノイの人々、えっ、これだけとビックリしたフォーの少なさ、朝イチから道ばたで飛ぶように売れているアイスクリームのパンサンド、失礼ながらちょっとちょっとな世界遺産。北ベトナムは私に想像以上のなごみと思考、喜びと苦しみを与えてくれた場所でした。次の目的地はもちろんホーチミン。どんな違いを感じることができるのか、今から楽しみです。

花鳥風月

ゆっくりと時間が流れるルアンパバン

今回は途中もう1つの世界遺産、ラオスのルアンパバンにも足を伸ばしました。とうとうと流れるメコン川や修行する若年僧侶など、フォトジェニックな光景がいたるところに展開する小都市は、知的好奇心に満ちたヨーロピアン・バックパッカーや各国の女性カメラマンに大人気。世界遺産に登録されたことで高級ホテルやしゃれた飲食店も次々進出中。ヘリテージハウスというユネスコの建物もあります。町はとても小さくて、メインストリートは1.5kmほど。ゆっくり散歩したって3時間もあれば回れてしまいます。楽しいのはプーシーの丘の麓のメインストリートで開かれるナイトマーケットや、王宮の東に延びる細い道が舞台の朝市など。2泊もすれば充分満喫できるでしょう。

もっとスケジュールに余裕があるなら、迷わずにソフトアドベンチャーにトライです。遺跡を見学しながらのメコン川クルーズ、エレファント・トレッキング等々、健全でスポーツ感覚たっぷりのアクティビティがたくさんあります。日射しは暑いけれど、さほど湿気がないので快適。というわけで、ここでリタイア後にロングステイしたいという人もいるそうです。私はちょっと飽きてしまいそう・・・かな。さらに、もっと長旅ができるのなら、こんな旅程はいかがでしょう。ハノイ→ルアンバパン→チェンマイ→シェムリアップ、そしてバンコクout。名付けて「インドシナ半島遺跡巡り」。各2泊ずつ、ホテルのグレードにこだわらなければ、かなりお安く回れるはずですよ。

マイフェイバリットホテル

ハノイのホテルはハイかローの二者択一で

物価が安いベトナムですが、観光客相手のホテルは別。特に高級ホテルは、ダイニングやスパの値段もインターナショナルクラスです。日本人ゲストに人気があるのは、タイ湖の東に点在するインターコンチネンタルやシェラトンですが、レジャー客には地の利が悪すぎ。気軽に散策したいなら、旧市街界隈での滞在がベストでしょう。ハイエンドですが、ハノイではソフィテル メトロポール ハノイがピカイチ。気品と格式に満ちたコロニアルスタイルは、シンガポールのラッフルズ以上の美しさです。

高級ホテルに宿泊する予算がない場合は、思い切ってゲストハウスのような5〜10室のスモールホテルを選ぶのも賢い選択。中途半端なレベルのホテルが最も当たり外れが大きいようです。現地で決めるのならぜひ見学(ショールーム)をしましょう。チェックポイントは、掃除は行き届いているか、エアコンは稼動するか、シャワーのお湯は出るか、騒音は気にならないか、の4点。これでおいしい朝食が付いていれば言うことなし! アップルワールドでは、ユースホステルやバジェットクラスのホテルが予約できるhostelsclub.comやグッド・ロー(Good Low)セレクション充実のHotelclub.comと提携しています。節約派はこちらでベトナムの宿を検討してみるのもいいですね。