Vol.
6
魅惑の都市でプチ・グルマンを楽しもう~ヨーロッパ編その2
旅先でできる最も簡単で、最も楽しく、そして最も思い出に残る冒険、それが「食事」です。しかしながら、海外でも頑なに日本食に執着したり、言葉が通じない、メニューが読めない、マナーがわからないといった理由で、おなじみのファストフードでお茶を濁してしまう保守派の方々は意外と多いようです。おお、何ともったいないことでありましょうか!「食」との出合いは一期一会。そして二度と再現できないもの。チャンスを逃す手はありません。チャレンジして損なし!私のとっておきのレストランをぜひお試しあれ。
並んでも食べたいベルリンの名所
ハイテク化が進むベルリンにあって、どこか心を和ませてくれる気取りのないレストラン、それが「パリス・バー」(Paris Bar、Kantstrasse 152)です。ここは目印など不必要なほどの人気店。いつも順番待ちをする人々で賑わっています。名前の通り雰囲気はまさにフランスのビストロ。各界著名人も頻繁に訪れますが、気取りとは全く無縁。観光客はもとより地元ベルリンっ子も詰めかけてくるのがその証拠でしょう。どうやら予約は受け付けていないようなので(それもまたいい感じです)、早めに行って並ぶべし。VIPも一般人も入り交じってみんなでワイワイガヤガヤ、のんびりと席が空くのを待つのもまた楽し、です。
街を歩いていて「ちょっと小腹が空いたな」と思ったら、インビス(屋台)で買い食い、立ち食いするのもオツなもの。中でもケチャップとマスタード(店によってはカレーパウダーも)がたっぷりのブルスト(焼きソーセージ)は、ボリューム&満足度バツグンの一品。お供は赤ワインを温めた薬膳風味ワイン、グリューワインで決まり!ドイツの春は遅く5月までは肌寒い日が続き、時には雪がちらつくこともあるほど。甘くシナモンの風味がスパイスになったグリューワインは、体を温めてくれるドイツの冬の定番。けっこうやみつきになる味わいです。同じファストフードなら、こんなふうにお国柄が出るメニューにトライしてみてはいかがでしょう?
ウィーンでオーストリア料理の古典と先鋭を食べ比べる
ウィーンの料理は、周辺諸国の郷土料理を積極的に採り入れているのが特徴。あのヴィーナーシュニッツェルの元祖はコットレット・アッラ・ミラネーゼ。グーラッシュも元をただせばハンガリー生まれのシチューです。スープの一種、レーバークネーデルズッペもまたバイエンルンの地方料理ですが、今ではウィーンっ子の大好物のひとつ。これはレバーの肉団子を入れたコンソメスープ。食べるほどに体が温まってくる素朴な料理です。シュテファン寺院近くにある「フィグルミュラー」(Figlmuller, Wollzeile 5, A-1010)は、巨大シュニッツェルで有名ですが、こうした家庭料理も秀逸。付け合わせにはジャガイモのマリネ風サラダのカルトーフェルザラートゥをどうぞ。
オーストリアは実はおいしいワインの宝庫。数が少ないためほとんど輸出されませんが、驚くほど品種に富んでおり、特に白やロゼのフレッシュな味わいには目を見張らされます。「ヴァイン・ウント・コー」(Wine & Co、Jasomirgottstrasse 3-5, A 1010)は、そんなオーストリアワインを一堂に集めたショップ。しかし狙い目は併設のバーです。ここでは気になるワインを試飲でき、なおかつモダンなオーストリア料理も堪能できる一石二鳥の店。かなりボリュームがあるので、スープとメインだけでも十分。もちろん購入したワインを、その場で開けることもできます。深夜まで営業しているので、カジュアルにくつろぐ若い人あり、コンサート帰りのドレッシーなカップルありと、誰でも気軽に立ち寄れる雰囲気が嬉しいですね。
ローザンヌからスイスNo.1のチーズとワインを求めて
以前、スイス最高峰のラックレットの名店を紹介しましたが、今回は誰もが知っているもう一つのスイス代表料理、チーズフォンデュの名店を紹介しましょう。グリュイエールの近くのシャテルサンドニ、ここにある「ティボリ」(Tivoli、1618 Chatel-St-Denis)こそが、世界一のフォンデュを供するレストラン。街の広場の真ん中にある家族経営の気さくな店ですが、アクセスには車が必要とちょっと不便な地の利。メニューは伝統的なチーズフォンデュのみ。にもかかわらず、スイス国内はもとより世界各国の旅行者も訪れるのですから、その味わいは推して知るべしです。どうしたらこんなになめらかに香り豊かになるのかと驚嘆する、そのチーズのバランス・・・レマン湖畔やヌーシャテル、ベルンあたりに滞在するのなら、時間を作ってでも足を運ぶ価値のあるレストランです。
レマン湖畔を起点にしてもう1軒、ぜひとも訪れてほしいレストランがあります。スイスはオーストリア同様、輸出はほとんどありませんが素晴らしいワインの産地。そのワイナリーで知られるグランボゥにある「ルエ・ドゥ・ラ・ポステ」(Route de Cretaz 10-1091, Grandvaux)がそれ。眼下にブドウ畑からレマン湖を見渡せる丘陵に建つ、1885年創業の老舗レストランです。何はともあれ、まずは地元産の白ワインを一杯、そして季節の野菜や湖で採れた魚などの新鮮な食材を使った軽めのフランス料理をゆっくりとどうぞ。晴れた日にはテラス席を確保すれば、景観もまた素敵なごちそうになります。たっぷりワインを楽しみたいなら、鉄道を使えば安心です。
プチ・グルマンの旅ヨーロッパ編、いかがでしたか? 「おいしいものが食べたい」という欲求は誰にもあるものです。ほんの少しの勇気と時間を割けば、きっと忘れられない味に巡り合えるはず。場数を踏むうちに、マナーや振る舞いも身についていくことでしょう。さあ、次の旅行はスーツケースにちょっぴりおしゃれな服を詰め込んで、未知なる扉を我が手で叩いてみませんか?
花鳥風月
タイからメッセージをいただきました
「はじめまして、いつも魅力的な話題が取り上げられていて、『次はどんなところが紹介されるのかな』と楽しみにしています。私はタイでホテルの仕事に携わっていますが、仕事の関係上、ゆっくり外国(タイからです)に旅行することができず、メルマガに掲載されている素敵な風景やホテルの写真を見ては、夢をふくらませているばかりの毎日です。特に以前紹介されていたクラン・モンタナはスイス好きの私が、まだ行ったことのない場所で、すぐにでも行きたくなりました。これからも、知られざる旅行先をたくさん教えてください。」
遠いタイの地で読んでいただき、ありがとうございます。クラン・モンタナは、日本人にはあまり有名でない場所ですが、スイスの中では非常に洗練されたリゾート地であり、それだけにツェルマットやグリンデルワルトとはまた違った魅力があるデスティネーションです。ローザンヌからの立ち寄りも可能ですので、機会があったらぜひ足を伸ばしてみてください。きっと次はゆっくり滞在したくなると思いますよ。
マイフェイバリットホテル
ミスターMがおすすめするプチ美食の拠点ホテル
【ベルリン】NH ベルリン-ミッテ
欧州各都市で駅や空港近くの便利な場所にプロパティを拡大しつつあるNHホテルズ。ベルリンだけで5軒もありますが、ブランデンブルク門に近いここが、市内観光にはおそらく最高の立地でしょう。モダンとクラシックを程よくミックスしたデザインは、意外なことにどこか初々しさを感じさせ、そのせいか観光客からビジネスマンまで、誰もがリラックス。ここの朝食は充実していますよ。
【ウィーン】ホテル カイザーリン エリザベート
シュテファン寺院に近くという一等地に建ち、皇妃エリザベートの名を戴いている由緒正しきホテルにして、リスト、ワーグナー、ココシュカといった芸術家たちがインスピレーションを得るために投宿した著名ホテルでもあります。歩くときしむ木の床や高い天井、年季の入ったカーペットなぞを見ていると、これぞヨーロッパという感慨がこみ上げてきます。
【ローザンヌ】ローザンヌ パレス & スパ
IOCのサラマンチ前会長がローザンヌの住居にしていた超高級ホテルとしてつとに有名ですが、昨年再訪したところ何とびっくり! 素晴らしきホスピタリティに満ちているではありませんか。グランドホテルとしての品格、それに恥じない客室やレストラン、スパなどすべてに高いクオリティ、そしてサービス。ローザンヌを代表する、いやスイスを代表する申し分のない1軒です。
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