Vol.
5
魅惑の都市でプチ・グルマンを楽しもう~ヨーロッパ編その1
旅先で何を食べるかは大いなる楽しみであり、また何にも勝る思い出になるものです。街角の屋台で買ったフルーツのみずみずしさ、おそるおそる口に運んだ得体のしれない地元料理、そして目にも鮮やかな芸術的一皿・・・。その全てが、その時、その場所でしか味わうことのできない「本日のスペシャリテ」なのであります。そこで今回は、私のとっておきのレストランを、人気都市ごとにこっそり紹介。これぞ本当の「おいしい」旅の話、というわけです。
ロンドン食事情の救世主(メシア?飯屋?)あらわる!
「ロンドンで食事に困ったら中華に行け」というのは、よく聞く話。実際これぞというイギリス料理のない(失礼。ローストビーフ、フィッシュ&チップスがある!と。ハハ…無いわけではないのですが…)かの地では、中華は我が同胞の駆け込み寺的存在です。しかし、グルマンの要求を満たしてくれる店も、ちゃんとあるのですよ。まずは「O FADO」(オファド、49-50 Beauchamp Place, Knightsbridge)。ロンドン最古参のポルトガル料理レストランですが、雰囲気は気軽さを残した由緒正しい居酒屋風。ポルトガル民謡のファドが生演奏され、その哀愁に満ちた調べに耳を傾けながら、バカリャウ(干しダラ)を使った伝統料理をつまみ、スタウトビール(これだけはイギリスに感謝です)をすする。これが最高!野菜や魚介類を使った料理が豊富で、調理法もシンプル。なんと日本語でもオーダーできるメニュ(何でしょう?お試しを)があるのも嬉しくも居心地のよい店なのです。
ロンドン滞在最後の夜を彩りたいなら「Aubergine」(オーバージーン、11 Park Walk)へ。「なす」という意味のユニークな店名で、驚嘆間違いなしの正統派フレンチが味わえるファインダイニングです。とにかくアッパークラスの人々に大人気で予約は必至。3コースで70ポンドとやや値は張るものの充実感は満点です。私は「ロンドンにこんな店があったとは!」と、つい口を滑らせ、同行の地元っ子を苦笑させてしまいました。あなたも旅の締めくくりにふさわしいひとときを堪能してください。
美食の殿堂パリで見つけた究極の味
ミシュランのガイドをひも解くまでもなく、選択に迷うほど美食所に満ちあふれているパリ。中でも綺羅星のごとくレストランが集まるモンパルナスにある「La Coupole」(ラ・クーポル、102 bd du Montparnasse)は古きよきパリの雰囲気が濃厚に漂う老舗ブラッスリーです。かつては藤田嗣治やモディリアーニも通ったという有名店で、現在でも予約なしではランチも無理の大賑わい。ここで絶対選ぶべきは看板の一品でもあるタルタルステーキです。アヴォカトをつなぎに使い、スパイスを絶妙に利かせたその舌触り・・・ああ、今すぐにでも食べに行きたい!お供のワインはハウスワインで十分。なんてったって、何を飲んでもおいしいのですからね。
そして、あっさり和の味が恋しくなったら、「勇鮨(イサミ)」(4 Quai d’Orleans)へ!サン・ルイ島にある小体な店ですが、パリ在住の食通日本人に絶大な支持を受けている、知る人ぞ知る正統な1軒です。ネタは日本から空輸された極上モノと地元産の新鮮な魚介類。辛口の日本酒をキュッとやれば、洋食で疲れた胃が生き返るようです。店を出た後はほろ酔いのそぞろ歩きもいいですね。サン・ルイ島の夜は静かでムード満点。中世の薫る石畳の路を歩いていると、パリにいるのだなあという感慨がわき上がってきます。
ジョカトーレ御用達ミラノのセレブレストラン
美食を愛するミラネーゼの友人が招待してくれた「La Briciola」(ラ・ブリーチョラ、Via Solferino ang. Via Marsala)は、ACミランのジョカトーレ御用達の洗練されたレストラン。店内にもさりげなくサッカー界著名人の写真が飾られています。驚いたことに友人がオーダーしたのはたった2皿。まずはタリアータ。外側を香ばしく焼いた牛肉を薄切りにした上に新鮮なルッコラ、ペッパー、パルミジャーノをあしらい、エキストラバージンオイルをたっぷりと。次が白トリュフを贅沢に使ったサフランのリゾット。野性的な味わいの赤ワインをゆっくり飲みながら食べていたら、これだけで大満足でした。デザートはもちろんティラミスとエスプレッソのドッピオで。
お次は、ちょっとチェントロからはずれてナヴィリオ地区へ。ここは歴史を偲ばせる運河沿いの小さなエリアで、日本でいえば江東区のような下町。行き交う地元の人たちから素朴な町の風情が感じられ、昔のミラノの空気が今も流れているような…。そのせいか、この界隈には家庭的でいい雰囲気のレストランがたくさん。地元っ子がわざわざ足を延ばして来るシーフード専門店もあったり。私のお気に入りは「Famiglia Conconi」(ファミーリャ・コンコーニ、Alzaia Naviglio Grande)。とにかくワインのセレクションがすごい!といっても高級品などではなく、小さな農家から仕入れてきたような、ある意味レア物がずらり。木箱のワインケースをそのまま使ったディスプレイがインテリアなのです。一人で来ている客は常連さんかな?そんな「おふくろの味」が味わえる、なごみのトラットリアなのです。
美食の誘惑もまた旅に出たくなる魅力的な誘惑のひとつ。ガイドに載っている有名店巡りも楽しいですが、ふと足を止めた店で忘れられない味に出合えたら、またいつか必ず戻りたくなってしまうことでしょう。このプチ美食シリーズは今後もお届けしていきます。あなたの「心の1軒」を見つけ出すヒントにしてください。
花鳥風月
ホテルのプールの正しいマナーとは?
「以前、バンコクの高級ホテルのエレベータに、プールから出立てですといった感じ のびしょぬれの白人男性が、裸足&水泳パンツ一枚で乗っていてびっくり。これは本来NGですよね?プールでのマナーがいまだによくわかりません・・・」
こんなメールを高崎様からいただきました。おっしゃる通り、もちろんNGです。せめてティーシャツと短パン、サンダルを身に付けたいものですが、ホテル通にはバスローブを羽織るというのがおすすめです。ただしホテルによってはルールが定められているので、どこでもバスローブでOKというわけではありません。迷うようなら事前にフロントなどで確認したり、プールなどへのアクセスを下見したほうがベターです。言わずもがなではありますが、プール利用後は水気を十分ぬぐい、絶対に他人に迷惑や不快感を与えないように気をつけましょう。こだわりあるゲストは自分仕様を持ち込むのも当然ですが、それなりのホテルではホテルの用意した備品やサービスを使う、楽しむことこそホテルが上客と感じるステイの仕方です。
マイフェイバリットホテル
ミスターMがおすすめするプチ美食の拠点ホテル
【ロンドン】 カンバーランド
マープルアーチにある老舗ホテルですが、全面的にリニューアルを済ませ実にアーティスティックに変身しました。彫塑やオブジェが置かれたロビーは美術館のようで、水やガラスを使った装飾が印象的。客室も全体に家具を低めにしつらえてあるためくつろげます。まあサービスも投資に見合ってアップ!(・・とでも言っておきましょうか)。古い、暗いというかつてのイメージは見事に消え去りました。
【パリ】 ホテル ル リットル
4スターながら自宅のようにくつろげるエレガントなホテルです。かわいらしいファブリックやアンティーク調の家具は女性の胸を躍らせること間違いなし。朝食の大振りなサクサククロワッサンは目を見張るおいしさ。もう、そのためだけでも滞在する価値があると断言します。モンパルナス駅やサンジェルマンに近い立地のよさも、美食三昧の旅にはうってつけです。
【ミラノ】 アート ホテル ナヴィリ
かつては日本資本のオーソドックスなホテルでしたが、経営が変わり、スタイリッシュなデザイナーズホテルとして、ナヴィリオ地区の知名度向上に貢献しています。レストランは朝食のみですが、周辺には「いい味」を出しているレストランがひしめいていますから食事に困ることなし。近くには地下鉄駅もありますが、私はドゥオーモまで散歩がてら歩いていきました。
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