HOTEL in U.S.A 私が見たアメリカのホテル

Vol.
186

ホテルへと向かう投資

アメリカの不動産投資を見ると、コロナで定着したリモートワークにより、オフィスビルの需要が下落。一方、ホテルの投資は異常に過熱している。レンタルアパートビルもそこそこ人気があるが、年間に値上げできる幅はせいぜい3%。ホテルならば、30%も夢ではなく、無限の可能性を秘めているように思える。2年前、ほぼ全てと言っていいほどのホテルが閉鎖され倒産状態になっていたことが夢のようだ。

旅行ができずに我慢していた分、アメリカ国内の旅行は活発化し、ホテル代はうなぎ上りの状態にある。コロナ時には80億円まで下がったマンハッタンのホテルが、今は140億円などとなっている。その時に迷って買わなかった投資家は悔しがる。

この現象もインターネットが世にでたことにより、レベニューマネージメントが生まれたからに他ならない。今、300ドルに設定したルーム料金を、瞬時にして変更できるからこそ、アパートメントビルに差をつけることができる。もちろん、不景気がやってくれば、料金はするべ落しのごとく低くなる。その時は、アパートメントビルの安定収入が勝ることになり、逆転現象が起きるだろう。それでも、オフィスビルより人気が落ちることはないように思われる。これから景気が良くなったとしても、リモートワークが廃れることはないからだ。既存のオフィスビルの中には、ホテルへと改築されるものが出てくるだろう。ニューヨークで言えば、アマンリゾートがその最初となった。オフィスビルは天井が高く、窓枠が広いところも多い。ラグジュアリーホテルを造るには適した素材を兼ね備えている。

インターネットとコロナがアメリカ社会の働き方を大きく変え、大都市の不動産価格に莫大な影響を及ぼした。25年前、ホテルは儲からないビジネスと言われた。それがインターネットにより大きく変わった。だが、2003年から始まった住宅バブルでは、分譲マンションへと改築された高級ホテルが続出した。それが、コロナを経た今、最も人気のある不動産投資物件となり、今度は、オフィスビルがホテルへと改築される番となっている。きっとこれからも何かをきっかけとして、この3種類のビルディングは時代が求めるものへと改築されていくのだろう。そして、この3種に加わる施設がでてくるのではないかと思う。きっとそれは病院だろう。

2023.5.31公開

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著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

奥谷 啓介オフィシャルサイト

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