HOTEL in U.S.A 私が見たアメリカのホテル

Vol.
111

アメリカのホテルやレストランでのマナー

アメリカはレディ―ファーストの国。エレベーターに乗るとき、男性と女性がいたら、男性は女性が全員乗るまで乗ることはできない。外からドアを押さえて待つ役割を担う。また、レストランで席に着くときも、女性といる場合には、女性が先に席につく。男性は立って待つことがマナーとなる。「俺はそんな主義でない」のもいいのだが、雰囲気を大切にしているホテルやレストランでは、主義は捨てて、こちらのマナーに従うべきだ。

一方、レディーファーストの前に弱者ファーストがある。老人や身障者がいる場合には、女性は待たなくてはならない。エレベーターに乗るとき、建物に入るとき、外に出るとき、女性であろうとも、今度はドアを押さえて、その方たちがスムーズに動けるように手伝うのがマナーとなる。

レストランで特に気をつけなくてはいけないことは、オーダーするものが決まったあとにメニューを眺めていないこと。メニューを眺めていると、オーダーが決まっていないものと判断され、注文を取りに来なくなる。また、各テーブルにサービスをする担当者が付いているので、注文を取りにきた人の顔を覚えて、次にスタッフを呼びたくなったときは、必ず注文を取りに来たスタッフを呼ぶこと。違うスタッフに声をかけることはマナー違反になる。

ナプキンの使い方も覚えておいたほうがスマートだ。ナプキンは注文を終えたあたりで、二つ折りにして、折った側が腹に来る向きで置く。折るときの注意は、縫い目があるほうが内側になるようにすること。また、口を拭くときには、内側で拭き、ナプキンを戻したときに、拭いた後が隠れるようにする。

ホテルの公共スペースやレストランに行くことは、風邪をひいている人は遠慮しなければならない。「風邪は人にうつるもの」という考えがとても強いので、近くで咳をされると、人は怯えている。もし咳やくしゃみがでそうになったら、ハンカチで強く口元を押さえて、100%唾が発散しないようにしなければならない。ただ両手で顔を覆う程度ではマナー違反。ハンカチをもっていないアメリカ人男性は、腕を強く口に当てて唾の発散を防ぐようにしている。また、マスクをしている人も煙たがられる存在になっている。レストランによっては、他のゲストに迷惑がかかるので、「利用はご遠慮ください」と言われることが多い。もし風邪の菌や花粉の菌を防止するためにマスクをしているのならば、煙たい目で見られないように、アメリカでは控えることをお勧めする。

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著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

奥谷 啓介オフィシャルサイト

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