HOTEL in U.S.A 私が見たアメリカのホテル

Vol.
57

夏のニューヨークのホテルの使い方

今年のニューヨークも猛暑の日が多くなっている。先週は40度近くまで気温が上がる日が続いた。こんなときは、ホテルのプールでのんびりと過ごすのもひとつの楽しみ方。パーカーメリディアンホテルの屋上には1年中泳げるプールがある。殊に眺めが素晴らしく、セントラルパークを果てまで見渡しながら、外にでて甲羅干しができる。また、「ただセントラルパークが見たいだけ」というゲストでもここに来られる。このように宿泊ゲストならば誰でも、セントラルパークの眺望を楽しめる場所があるホテルはとても希な存在だ。

もう1軒、眺望を楽しみながら泳げるプールを備えたホテルとして、UNプラザホテルがある。ここは、マンハッタンのビル群の中心から少し外れているので、きれいな眺めが保たれている。27階にあるプールで、ユナイテッドネーション、イーストリバー、摩天楼を見渡しながら、ニューヨーカー達に混ざって水泳をする。また、39階にはテニスコートもある。これらを体験した日本人はまずいない。

プールではないが、摩天楼に囲まれたアウトドア空間で、カクテルを楽しめるホテルもある。ペニンスラホテルの屋上には、アウトドアのバーがあり、暑い日の夕方は、ネクタイ姿のニューヨーカー達でこみあう。ホテルのエントランスは狭く、いつもドアマンが待ちかまえている。その威圧感に負けて入れず終いという人の話をよく聞くが、スラックス、ワイシャツ、ジャケット、皮靴姿であれば臆することはない。また、右手の中2階にあるラウンジはとても落ち着いていて、コーヒーを飲みながら会話をするには最高の場所。何度でも無料でリフィールしてくれる。

さらに、アウトドアではないが、セントラルパークを見渡しながら食事やカクテルを楽しめる場として、マンダリンオリエンタルホテルのロビーは最適。木々が生い茂るセントラルパークは上から見ると、まるでジャングルのよう。その上を舞う鷹を眺めていると、“世界一の大都会にして自然の宝庫”というニューヨークの特徴がよく分かる。

最後に、タイムズスクエアのネオンも鑑賞したい場所のひとつ。目まぐるしく色を変えるネオンを眺めながら、暑さから逃れて優雅に過ごすならば、マリオットマーキーのロビー(8階)にあるバーがお勧め。こまない時間帯を狙って窓際の席を取れば、思う存分電光ポスターを楽しめる。

ニューヨークのホテルの施設使用料は日本のホテルのように高くない。ラグジュアリークラスならば無料にしているところがほとんどだ。ホテルを利用した優雅なひとときがリーズナブルな料金で楽しめるのがアメリカのホテルの特徴と言える。そうした施設を持ったホテルに泊まるときは、存分に利用していただきたいと思う。

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著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

奥谷 啓介オフィシャルサイト

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