Vol.
21
ホテル業界の名物男が手がけるホテル
- The Standard, East Village
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先日、ホテル業界の名物男、Klaus Ortliebに会った。彼はBeverly Hills Hotelで働いたのち、ロスアンジェルスのThe Mondrian hotelとハリウッドのThe Chateau Marmontのリオープニングを手がけた。その後、ニューヨークにやってきて、Hudson hotelのオープニングを行った。アメリカに来る前には、かの有名なロンドンの、Claridge Hotelで働いていたこともある。現在、The Cooper Square Hotelのコンサルタントをしている。
私がホテルのロビーに入って行くと、彼は、私をチェックインをしに来たゲストのように扱ってくれた。驚いたことに、このホテルにはチェックイン・カウンターがない。ロビーでゲストを待ち構えていた女性のエスコートを受け、一人しか座れない小さな部屋に案内され、そこで部屋の鍵を受け取っただけだった。クレジットカードの登録もしなかった。こんなアメリカのホテルは初めてだったので、私はたずねた。
「なぜカードを取らないのですか?危険でしょう。」
「私はゲストを信じることにしているのですよ。」
こんなことを言うアメリカのホテルマンはまずいない。まだオープンしたばかりだから、半年後、彼を訪ねて同じことを聞いてみようと思う。
、The Cooper Square HotelはNYU(ニューヨーク大学)の近くのイースト・ビレッジ・エリアにある。過去2年間、私は毎土曜の朝9時から4時間、アスタープレイスという地下鉄の上にあるスターバックスで原稿を書いていた。そこから、アルミニウムの柱を持つガラス張りのいびつな形をした建物が背を高くしていくのを見ていた。モダンなオフィスビルだろうと思っていたのだが、実はそれが、The Cooper Square Hotelだった。
彼の説明ではこのいびつな形は人間の顔の形を真似たものだという。21階建ての15階あたりの幅が一番広くなっている。そこが頬骨にあたるところだ。さらに面白いことに、建物は横にある古い2階建ての家と融合している。そこの住人を最後まで立ち退かすことができずにビルが建ち始め、仕方なしに融合する形になったようだ。
周囲には、高いビルがまったくないので、すべての部屋からみごとな視界がひらけている。殊に、最上階のペントハウスは360度マンハッタンを見渡す。こんなすばらしい眺めを持ったペントハウスはマンハッタン中を探してもここしかない。ニューヨークで一番豪華なペントハウスに泊まりたいという人がいたら、私は迷うことなくここを薦めたい。
ロビーの先には本棚がたくさんあり、実際に多くの本が入っている。まるで図書館の中にいるような感覚だ。そして、その中にバーがある。読書をしながらゆったりとした時間を楽しむゲストもいた。テーブル8と名づけられたレストランには太い幅の長いカウンターテーブルが目立つ。目の前に小さなキッチンがあり、そこで料理されるものもある。抜群の雰囲気なので、今後、ニューヨークのホットなレストランの一つとなっていくに違いない。
特色あるブティックホテルが立ち並ぶニューヨークだが、このホテルは他のブティックホテルとは比べ物にならないほど異色なホテルだった。

著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

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